LNEWSは、物流・ロジスティクス・SCM分野の最新ニュースを発信しています。





冷凍冷蔵倉庫市場を拓く
新鋭ベンチャーの戦略

2022年12月19日/物流最前線

脱フロンに貢献、冷凍冷蔵倉庫は需要増

<「LOGI FLAG COLD市川I」外観>
20221130kasumi ph7 - 物流最前線/冷凍冷蔵倉庫市場を拓く、霞ヶ関キャピタル

<「LOGI FLAG COLD市川I」内観>
20221130kasumi ph8 - 物流最前線/冷凍冷蔵倉庫市場を拓く、霞ヶ関キャピタル

<「LOGI FLAG COLD市川I」内観>
20221130kasumi ph9 - 物流最前線/冷凍冷蔵倉庫市場を拓く、霞ヶ関キャピタル

――  環境配慮型の冷凍冷蔵倉庫とはどういうものですか?

杉本  既存の冷凍設備の触媒にはフロンを使うケースが多いのですが、2030年のフロン規制に伴い、全廃することが決まっています。現状はまだまだ切り替えられていない施設が大半ですので、2030年に向けて非常に需要が高いだろうなと考えています。またSDGsの視点からも、当社は自然触媒であるCO2やアンモニアを使って施設を作っていっています。昨今主流になりつつある代替フロンもオゾンは破壊しないものの、CO2に比べると約1万倍の温室効果があるといわれていますので、そういうものを使わずに環境対策もしていきましょうと。

――  なるほど。環境問題への貢献でもあるんですね、何か課題はありますか?

杉本  自然触媒を使うことで、コストがどうしても高くなることです。アンモニアは危険物なので、取扱いにもコストがかかります。例えば20億円の物件を作るときに、既存の代替フロンを使うと20億円でできても、自然触媒を使うと21億円かかってしまいます。それでも、CO2排出量は少なくなります。技術的にはおそらくフロンのほうが冷えやすいですし、安く作れますが、地球温暖化防止のために、当社は自然触媒を使って事業展開をしていこうと考えています。また最近、どこのデベロッパーも仰っていると思いますが、建築費が高騰しているので、それをどう抑えていくのかというのも課題だと思います。そういう意味でも当社は他社と同じような冷凍冷蔵倉庫を作っても、分離発注を駆使するなど安いコストで作れるノウハウが積み上がっています。建築費が高騰するこの2年間、先駆けてやってきてよかったなと感じています。

――  ノウハウも、かなり積み上がってきたのでは。

杉本  そうですね、2020年6月時点では、正直、そんなに冷凍冷蔵倉庫のノウハウを持っているわけではありませんでしたが、これだけ作っていると、ノウハウはかなり蓄積されてきていて、他社に比べるとアドバンテージはあるなと思っています。防熱業者や設備業者の選定や、どこのゼネコンにしようかなど、当社のほうでコストコントロールできるようになってきています。

――  ところで、リーシングの状況はいかがですか?

杉本  非常にリーシングに手応えがあるなと感じています。いま着手している14プロジェクトは、冷凍冷蔵倉庫(三温度帯含む)が11棟、ドライ倉庫が3棟という内訳です。今年9月に1件目として千葉県市川市に竣工した賃貸型冷凍冷蔵倉庫「LOGI FLAG COLD 市川I」にはSBSゼンツウさんが入られています。順次、他の物件もリーシングを鋭意進めていますので、決まり次第、またお話できることは増えてくると思います。

テナントの引き合いが多いのは、もちろん普通のドライ倉庫ではありますが、当然競合も多く存在します。しかし冷凍冷蔵倉庫の場合は競合他社には無いものなので、テナントさんは借りるか借りないかだけを選ぶ状況であり、これらがリーシングの手応えに繋がっていると感じています。

<リーシングに手応えを感じる、と杉本 本部長>
20221130kasumi ph10 - 物流最前線/冷凍冷蔵倉庫市場を拓く、霞ヶ関キャピタル

――  選ばれたポイントは、どのような点だとお考えですか?

杉本  SBSゼンツウさんが入られた決め手は、もちろん場所を気に入っていただけたこともありますが、冷凍設備をオーナー側が最初から持っているというケースがほとんどないということもあります。例えばドライ倉庫にリノベーションして冷凍設備を発注すると1年待ち、追加で防熱設備を発注してもう数ヶ月待つとなると、すぐ借りたいと思っても借りられないので、そういう意味ではオーナー側で冷凍設備も準備していたというのは、非常に大きいポイントだったと思います。

――  自動化にも取り組んでいくのですか?

杉本  着工は来夏になりますが、自動化に踏み切っていこうと思っています。2年後の2024年夏に竣工予定の「LOGI FLAG TECH 所沢」はゼネコンと設備業者と共にプロジェクト計画を作り込んでいるところです。どこまで自動化するかというのはまだ詰めきれていませんが、倉庫部分はクレーン倉庫でいこうということは決まっています。パレタイズ(荷積み)、デパレタイズ(荷下ろし)ロボットと呼ばれる「取る、置く」作業を自動化するロボットについても検討中です。市川の物件と同じで、オーナー側で全て作り込み、あとは使ってくださいという形で作りきろうと思っています。もちろんテナントさんによって設備変更の要望が出てくるとは思いますが、ある程度汎用性を考えてテナントサイドで変更せずとも使って頂けるような施設を作っていきたいと思っています。

――  今後、最も注力していくのは?

杉本  ドライ倉庫、ドライの自動化、冷凍冷蔵倉庫、冷凍冷蔵の自動化と、いろいろな切り口があるのですが、どれも全方向で注力していきたいとは思っています。しかしながら他社と同じことをやっても、競業が出てきて、なかなか事業化できません。当社が勝ち残っていくのは冷凍ないし冷凍自動の分野なのかなと思っていますので、結果として事業展開できている分野に注力しているように見えるのだろうとは思います。本来はドライも作りたいですし、大型の倉庫も作りたいです。ただ競業と同じ土俵で戦うより、いろいろと検討した結果、勝負できているのが冷凍冷蔵倉庫で、そこをしっかり事業化していきたいと思います。

次>「LOGI FLAG X」新たな挑戦者求む

<前へ 次へ> 1 2 3

関連記事

Next-Logiに関する最新ニュース

最新ニュース