帝国データバンクは3月8日、 「物価高倒産」動向調査(2023年2月)について発表した。それによると、2月の発生件数は53件で、月間最多だった2023年1月(50件)を上回り、8か月連続で最多を更新した。
53件を業種別にみると、「運輸・通信業」「小売業」(各10件)がトップ。以下、「建設業」「卸売業」(各9件)、「製造業」(8件)の順。業種詳細別では、「運輸業」(10件)でトップ。以下、「飲食料品製造」(6件)、「職別工事業」「総合工事業」「飲食料品小売」「飲食店」(各4件)が続いており、価格転嫁率の低い業種が目立った。
負債規模別にみると、「1億~5億円未満」が 17件でトップ。次いで、「5000万~1億円未満」(12件)、「10億~50億円未満」(9件)と続く。中規模以上の倒産が目立つ。
要因別にみると、2022年度(23年2月まで)は、「原材料」が37.0%で最多。次いで、「エネルギーコスト」(24.6%)、「包装・資材」(20.7%)と続く。また、「人件費」「円安」に続き「物流」が3.5%となっている。
帝国データバンクの発表によると、2月の全国企業倒産は574件発生し、10か月連続で前年同月から増加となった。年度でみても、すでに前年度を上回っている。物価高倒産もすでに前年度を大きく上回っており、前年度比約3倍となる見込みだ。個別の倒産事例をみると、コロナ禍で経営体力を消耗している状態が続くなか、最後の追い打ちとして物価高の影響を受け、事業継続を“あきらめる”ケースがほとんどだという。
また、これらの数字は、個別の取材の中で倒産理由が判明したケースのみ集計したもので、「あくまで氷山の一角に過ぎず、実際にはさらに多方面に、物価高の影響が広がっている可能性が高い。物価高への対策が急務であるなか、2月28日に発表した『「食品主要195社」価格改定動向調査』にもあるように当面、値上げラッシュは続くとみている。今後も建設業や飲食関係など価格転嫁率の低い業種を中心に、物価高倒産も引き続き増加傾向で推移していくだろう」と分析している。
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