セイノーホールディングス(HD)が5月14日に発表した2024年3月決算によると、売上高6428億1100万円(前年同期比1.8%増)、営業利益234億300万円(17.9%減)、経常利益244億9600万円(25.1%減)、親会社に帰属する当期純利益145億6100万円(23.4%減)となった。売上高は3期連続増加し、過去最高となった。
輸送事業については、売上高は4702億37百万円(0.9%減)、営業利益は152億73百万円(30.2%減)。売上高・営業利益は減少したものの田口義隆社長は「すこしずつ明るい傾向があり、物量も4月以降回復傾向にある。同業者との共同配送などよりGreen物流を加速している」と現況を語った。
同社グループはロードマップ2028のもと、主力である特積み輸送では、全国をカバーする路線網に加え数多くの拠点や人材を有する強みを活かし、長距離・高重量帯を中心に適正運賃収受や取扱貨物量の確保に努め、成長と収益性の改善を図ってきた。
輸送事業の中核会社である西濃運輸では、関東西濃運輸、濃飛西濃運輸、東海西濃運輸を2023年4月1日付で吸収合併し、運行便の効率化を加速。中継拠点や集約拠点の見直し、低積載の解消、取扱貨物量に相関した運行体制への刷新を図るとともに、収入・取扱貨物量に相関した費用管理をショートインターバルで検証し、成果に繋げてきた。
このほか、Green物流の実現に向け、オープン・パブリック・プラットフォーム(O.P.P.)カンガルー便を積極的に展開。トナミ運輸と石川県金沢市・愛知県岡崎市において、それぞれ共同配送を開始。さらに、日本初の水素燃料電池(FC)大型トラックの実証実験を開始し、水素燃料電池(FC)小型トラックや電気(EV)小型トラックを導入している。
拠点展開では、西濃運輸松戸支店(千葉県流山市へ)と、京都支店(京都市伏見区へ)の移転、新木場物流倉庫(東京都江東区)、厚木物流倉庫(神奈川県愛甲郡)、岐阜羽島ロジスティクスセンター(岐阜県羽島市)、ロジクロス座間(神奈川県座間市)、九州向け中継輸送の専門店となる北大阪ハブ(大阪府茨木市)の新設、セイノースーパーエクスプレス富山営業所(富山市内)の移転を行い、ロジスティクスインフラの増強や中継業務の効率化による収益の拡大を図っている。
労働力・輸送力不足が懸念される2024問題については、「コストへの影響力はあまり大きくないと考えている。チームロディスティクスを展開し、生産性を向上や効率化につなげたい。採用に関してはタイミ―と取組み、効果をあげ始めている」(田口社長)とコメントした。
西濃運輸では同日、10~20%の運賃改定を発表しており、その背景についても質問が及んだ。野津信行 取締役は「全体としてさまざまなコストが上っているというトレンドにあり、運賃についても合わせた形で改定し、新しいタリフをリリーフすることとなった」と説明。「2024年問題の影響で顧客側も運べないリスクを感じており、出荷量の制限という可能性もある。リスク管理という観点から比較的同意していただけるものと思っている」と述べた。
今後の見通しとしては、引き続きO.P.P.による他社との連携や協業を推進していく方針。具体的には優位性が異なる同業他社とのO.P.P.や非効率な地域を補完し合うO.P.P.を通じ顧客の利便性向上や物流業界の配送効率向上につなげていく。「2024年問題、まだまだ手探りだが、思いを同じくする企業と手を携えていきたい」と田口社長は総括した。
次期は、売上高4期連続増となる6587億円(2.5%増)、営業利益309億円(32.0%増)、経常利益324億円(32.3%増)、親会社に帰属する当期純利益194億円(33.2%増)を見込んでいる。