日本GLPは12月5日、冷凍冷蔵に対応したマルチ型物流施設の開発に注力するとして、メディア向け説明会を開いた。
2017年から専門チームを立ち上げ、倉庫面積を拡充。関東と関西で9プロジェクトが進行しており、今後3~5年で約2000億円を投資し、冷凍冷蔵の面積を計13万坪に倍増するとした。
日本GLPの駒俊志 営業開発部グループリーダー・ヴァイスプレジデントによると、冷凍冷蔵物流施設のマーケットは「需要は増加の一途なのに、倉庫の活用率は6大都市で平均97%に達し、収容能力の絶対量が不足している」。
さらに「建て替え目安となる築40年を超える冷蔵倉庫が3割以上を占め、全国で最も倉庫容積の大きい神奈川県でも老朽化対策が急務となっている。ところが高額な建築費や建築資材の高騰、荷物の逃がし先が確保できないことが要因で建て替えは進んでいない」と説明する。
需要拡大の背景としては、家庭用冷凍食品の取扱量が増え、特にECでの食品購入がコロナ禍で急増したことなどが大きい。
日本GLPが開発・開発予定の物流施設としては、冷凍冷蔵専用もしくは冷凍冷蔵区画がある物件は33棟に及び、2017年に冷凍冷蔵事業に本格参入して以降、賃貸済みの面積は8万7000坪に上る。
今後、食品メーカーほか運送会社や卸、小売、ECなどからの需要が拡大すると見ているという。
中でも、大型のマルチ型冷凍冷蔵施設2件のリース状況について、2025年2月竣工予定の「GLP神戸住吉浜」(兵庫県神戸市)は成約率100%、「GLP川崎II」(神奈川県川崎市)も、2027年8月竣工予定にもかかわらず成約率25%だと明かした。
「川崎II」は地上5階建て、延床面積約20万5000m2と国内最大規模。常温、冷凍、冷蔵の3温度帯に対応し、最小区画約2600m2から最大35社が入居できる。
駒氏は「倉庫を建て替える間、保管品を逃がす場所が無いので3年だけ1区画借りたいといった、マルチ型だから対応できる相談が寄せられている」と言う。
説明会開催にあたり挨拶した松脇隆 常務執行役員は、「開発からリーシング、プロパティマネジメントまですべて自社で対応するのがGLPの強み。オープンハブをコンセプトとしたビジネス共創も促したい」などと語るとともに、「土地の目利きには自信があり、テナントがすぐ決まるような立地で戦いたい」ともした。
2030年フロン規制を見据え自然冷媒に対応するなど高スペックの物件とするほか、倉庫の「自動化」も研究していきたいとした。
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