ゼロは4月21日、業界に先駆けていち早く取り組んできた車両輸送時の品質管理のデジタル化の成功事例を公開した。
＜陸送業界に類を見ない画期的なシステム「mola」。ダブレット版に始まり、現在ではスマホ版でも提供＞
車両輸送時の品質管理のデジタル化に、40種類以上の紙情報をタブレットやスマートフォンで一元管理できる業務専用アプリ「mola（モーラ／正しくはlが筆記体）」を活用している。
「mola」の開発を担当したのは、事業サポート本部DX戦略室。佐野室長は、「車両輸送の際には、顧客の車両の預かり書が必要。しかし、手書きによる紙運用では記入ミス、書類検索の時間、保管スペースの圧迫など、さまざまな課題があった。2022年12月から『mola』の運用プロジェクトを始め、現場経験が豊富なメンバーを集め、各事業所のドライバー・営業担当者・管理担当者などの意見を重視して開発を進めた」と開発初期から精力的に事業を推進。現在もなお新たなシステムの構築に向けてメンバー全員で対応しているという。
2023年には「mola」の導入を開始し、ドライバー、事務担当者一人あたりの作業時間は、従来の合計50分から15分へと大幅に削減できた。現場での情報を取り扱う事務担当者の年間作業時間も、合計1290時間から341時間への削減を目指している。
業務のデジタル化により、車両の状態を写真や画像で記録できるようになったことで、納車時の状況説明がこれまで以上に正確かつスムーズに行えるようになった。
現在、ドライバー3500名にアカウントを付与しており、そのうち半数には「mola」の有効性とメリットをマンツーマンで丁寧に説明してきた。ドライバーへの導入においては、多くの苦労が伴ったという。従来から紙の書類によるアナログな業務に慣れ親しんでいたドライバーや事務担当者のなかには、新しいシステムへの抵抗感が強く、「使いづらい」「分かりにくい」といった声も少なくなかった。
こうした課題に対し、DX戦略室のメンバー全員が協力し、全国の事業所を訪問してセミナーを開催。一人ひとりに対して丁寧にレクチャーを行い業務上の不明点があればすぐに対応できるよう、DX戦略室への直接の電話対応体制を整えるなど、手厚いサポートを実施した。その結果、徐々に理解と納得を得られるようになった。
＜事業サポート本部DX戦略室の佐野室長（中央）、間野課長（左）とメンバー＞
事業サポート本部DX戦略室・間野課長は「導入拠点数は、協力会社を含めて93拠点に達し、モバイル端末の配布台数は4000台を超えた。全国での導入実施率は90.2％に達している」と述べている。
こうした取り組みにより、ドライバーへの活用も着実に広がり、アナログからデジタルへの移行が大きく前進しているという。
今後は、日報など未デジタル化業務の領域や、AIによる車両傷の自動判定機能の導入、バイク輸送業務への応用など、中古車を含めた全ての作業区分への展開により、工数削減・コスト削減を進め、さらなる可能性を追求する。
「mola」を、車両輸送業務に不可欠なインフラとしての地位を確立し、業界全体のデジタル変革を牽引する存在になることを目指していくとしている。
