ドクタートラストは9月2日、ストレスチェックサービスを受検した約56万人の集団分析データをもとに、健康リスク業種別ランキングを算出した。
それによると、健康リスクが最高となった業種は「運輸業・郵便業」で、値は104。次いで「医療・福祉」が100、「宿泊業・飲食サービス業」が99で続いた。
一方でランキングの最下位、すなわち健康リスクが最低の業種は「不動産業・物品賃貸業」で85。ランキング1位の「運輸」とは、19ポイントもの差がついた。2番目に低いのが「公務」で86、そして「情報通信業」が88で続いている。
「健康リスク総合ランキング」は、「仕事の負担・コントロール」に該当する健康リスクAと、「上司・同僚とのコミュニケーション」を指す健康リスクBという2つの指標をかけ合わせた数値。
今回上位に入った業種は、いずれも勤務形態によって生活リズムが不規則になりやすく、人と接する機会の頻度によって心身ともにストレスを感じやすいと考えられる。
「仕事の負担・コントロール」の健康リスクAとは、個人ごとの仕事の負担と、それをいかにコントロールできているか、そのバランスがストレスに及ぼす影響を示している。
このうち「仕事の負担」リスクは、仕事の量・処理速度・熱量などを問う設問、「仕事のコントロール」リスクは、仕事をする際に各自の裁量で業務内容や進め方、時間配分などを調整できるか、その自由度を問う設問から構成される。
健康リスクAのランキングでは、「宿泊業・飲食サービス業」が105でトップ、次いで「生活関連サービス業・娯楽業」の104、「医療・福祉」の103が続いた。一方で最下位の業種は、「電気・ガス・熱供給・水道業」で90だった。
これに対し、「上司・同僚とのコミュニケーション」の健康リスクBは、職場の上司や同僚とのコミュニケーションがストレスに及ぼす影響を示している。
健康リスクBは、仕事量が少なく、各自のやり方で仕事を進められても、上司や同僚からのサポートが得られにくい職場はリスク数値が悪くなる傾向がある。
健康リスクBのトップは「運輸業・郵便業」で104。次いで3ポイント差で「製造業」の101。次いで「サービス業」が99と続く。
「運輸業・郵便業」、「製造業」は他の業種とくらべて業務を一人で行うケースが多いため周囲とのつながりを感じにくいほか、拠点が複数あり管理職と物理的な距離があるなどの特性から、サポートの有無が従業員のストレスに影響を与えている可能性がある。
なお、健康リスクA、Bともに100を超えているのは「運輸業・郵便業」のみであり、これが業種別・総合健康リスクランキングでトップになってしまっている要因だ。
「相談しやすい職場づくり」は社員の定着率向上やメンタル不調の予防のためにも不可欠であり、そのために現在のサポート状況を見直し、対策を検討することが求められる、としている。
■調査概要
調査対象:ドクタートラスト・ストレスチェック実施サービス 2019~2024年度受検者
対象受検者数:
2024年度 555,956人(1,777の企業・団体)
2023年度 479,612人(1,390の企業・団体)
2022年度 410,352人(1,162の企業・団体)
2021年度 324,642人(940の企業・団体)
2020年度 240,275人(685の企業・団体)
2019年度 199,290人(575の企業・団体)