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サントリーロジ/自動搬送ラックを導入しトラック滞留時間を年2000時間削減

2025年04月25日/物流施設

サントリーロジスティクスは4月25日、自社拠点におけるトラックの滞留時間削減に向けた取り組みとして、神奈川支店「長津田配送センター」(横浜市緑区)に自動搬送ラックを導入し、公開した。豊田自動織機トヨタL&Fカンパニーと共同設計した2基で、4月から本格稼働している。

<長津田配送センターに導入した自動搬送ラック(9列×3段)>
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長津田配送センターは、酒類・清涼飲料などサントリー製品の保管や入出荷を行う拠点で、サントリー出荷倉庫の中では最大級の年間約5300万ケースを扱う。今回導入した自動搬送ラックは、既存倉庫の仮置き場に「後付け」したものだ。

<自動搬送ラックのデモンストレーション>

運用としては、ピッキング後のパレットをフォークリフトでコンベヤに乗せると、二次元コードで管理されたパレットをスタッカークレーンが自動で指定の間口へ搬送。

出荷のためにラックから取り出す時は、トラック到着後、モニターを通じ、フォークマンにパレットの格納間口の番号や積み込み枚数が指示される。

<何番の間口から何パレット出荷するか表示される>
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<自動搬送ラックの間口>
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これまで長津田配送センターでは、出荷する飲料製品のピッキング割合が高く、ピッキングした製品を載せたパレットを置く仮置き場の不足や、搬送にかかる工数が課題となっていた。

長津田配送センターの場合、従前の平均トラック滞留時間は約1時間半(積み込み約50分)。国土交通省が発表した国内平均「荷待ち1時間34分」「荷役1時間29分」よりは短いものの、ガイドラインで示された「2時間以内にし、達成した場合は1時間以内を目標に」という目安をもとに、さらに短縮する狙いがある。

自動搬送ラックを設置することで、仮置き場の保管能力を約2倍に向上、搬送などのピッキング作業にかかる工数を約1割削減。さらにトラックへの積み込みにかかる時間を約3割削減することで、トラックの滞留時間を年間約2000時間削減する見込みだ。

2024年4月から適用された「働き方改革関連法」によるトラックドライバーの時間外労働の上限規制は、トラックドライバーの労働環境の改善が図られた一方、それによって生じる物流2024年問題への対応は、ますます重要な課題となっている。円滑な荷役作業によるトラックの滞留時間およびトラックドライバーの拘束時間削減に努めたいという。

<サントリーロジスティクスの武藤 取締役会長>20250425suntory3 - サントリーロジ/自動搬送ラックを導入しトラック滞留時間を年2000時間削減

設備導入にあたり、サントリーロジスティクスの武藤多賀志 取締役会長は「長津田配送センターは細かなピッキングが多く積み込みに時間がかかっており、改善したかった。新設する倉庫の場合は自動フォークリフトの導入などDXを取り入れるタイミングを得やすいが、今回のような既存倉庫ではなかなか難しく、自動搬送ラックを後付けする手段を取った」と説明した。

<サントリーHDの塚田 物流調達部長>20250425suntory2 - サントリーロジ/自動搬送ラックを導入しトラック滞留時間を年2000時間削減

またサントリーホールディングス(HD)の塚田哲也サプライチェーン本部調達本部物流調達部長は、2024年問題を背景に、「酒類・飲料はトラックによる輸送量が多く、物流業界への影響が大きい。また製品は重たく物量が多いという特徴があり、特に荷積み・荷下ろしでは走行時間以外のトラックの滞留時間が長い。ドライバー不足が問題となる中、荷主企業として変革が求められている」とグループの方針を語った。

なお、この取り組みは国土交通省による「物流施設におけるDX推進実証事業費補助金」の認定および支援を受け、実証を行っているもの。

サントリーロジスティクスとサントリーグループは、今後も「スマートロジスティクス」の取り組みを進め、先端技術の活用や各企業・自治体との連携による、安全・安心で持続可能な物流の実現を目指していくとしている。

■長津田配送センター概要
住所:神奈川県横浜市緑区長津田町4243-1
開設:2015年1月
保管面積:3万3057.85m2(約1万坪)
構造:3層(地下1階、1階、2階)
稼働日数:年間約300日(24時間稼働)
フォークリフト台数:計68台
トラックバース数:17バース
主な業務:サントリー製品の保管、納入、出荷
対象製品:酒類および清涼飲料など
配送エリア:神奈川県、静岡県、山梨県
作業員数:約60人
取扱数量:年間約5300万ケース
出荷数量:1日平均約8万ケース
特徴:サントリー出荷倉庫の中で最大級の出荷量

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