国土交通省で7月10日に開催された、第3回「2030年度に向けた総合物流施策大綱に関する検討会」において、現行の物流施策大綱(2021年度~2025年度)、中長期計画の進捗状況(KPI)が公表された。
現行の大綱では、DXや標準化によりサプライチェーン全体の最適化を図る「簡素で滑らかな物流」、労働力不足対策の加速と物流構造改革を推進する「担い手にやさしい物流」、強靭性な物流ネットワーク構築を目指す「強くてしなやかな物流」の3つを柱を掲げ、持続可能な物流の実現を目指している。
それぞれの柱に対応するKPI(重要業績評価指標)の進捗について、4段階で現状評価した。
このうち「担い手にやさしい物流」では、トラックドライバーの年間所得額平均を全産業平均の527万円(2024年度)まで引き上げる目標値に対し、大型で492万円、中小型で437万円となっており、見通し「3」とした。
労働時間についても、全産業平均の2052時間(2024年度)まで引き下げることを目標としていたが、大型で2484時間、中小型で2424時間とし、見通し「3」という状況だ。
主な要因として「荷待ち時間等のトラックドライバーの拘束時間の短縮に向けた規制の導入等を内容とする改正物流法等の施行を進めてきたが、荷主等の取組や意識改善の定着には至っておらず、現場での実効性は限定的な状態に留まった」と説明。
改正物流法についても「未施行の内容が一部残っており、実効性の確保には一定の時間を要する状況」だとした。
今後、目標達成に向けて、所得面では「中小受託取引適正化法への十分な対応や商慣行の見直し、実運送コストを勘案した価格決定等の取組を注視・促進」するとともに、来年4月施行予定の改正物流法による規制徹底や、今年6月に公布されたトラック適正化二法について「適正原価」や「委託次数の制限」等を含む制度の施行に向けて、準備を着実に進めるとしている。
労働時間短縮に向けて、トラック・物流Gメンによる荷主等への是正指導等を引き続き実施するととも、法改正を契機に関係省庁とも連携し、荷主等に対する規制の徹底や、価格転嫁、取引適正化を推進。荷待ち時間等の削減や荷役作業に資するシステム導入等の支援を継続する方針だ。
一方、改正トラック法に基づく国土交通大臣による荷主への働きかけにおいて、違反原因行為に該当しうる荷主の行為が実際に確認された際の対応状況率(100%)。「ホワイト物流」推進運動への参加企業数も3130者(2025年3月)となり、目標を達成している。
新倉庫の荷待ち発生率は19%(2024年3月末)で、「物流効率化法による総合効率化計画の認定を受けた生産性の高い物流施設を整備」すること、「荷主と倉庫業者の連携を促し、ハード・ソフト一体で物流効率化を推進する必要がある」とした。
トラックの積載効率は、50%の目標に対し41.4%(2024年度)で、「荷主・物流事業者の取組や意識の改善の十分な定着には至っていない」とし、改正物流法の施行による荷主・物流事業者間の取組を推進するとともに、「配送中のトラックの積載率を可視化し、トラック事業者の共同輸配送、復荷の確保、配送網の見直し等につなげるための実証事業を引き続き支援する」とした。
宅配便の再配達率は目標(7.5%程度)に対し、大手宅配事業者3社で9.5%、宅配に関わる大手事業者6社ベースで8.4%(いずれも2025年4月)。
「強くてしなやかな物流」では、モーダルシフト(鉄道による貨物輸送)の目標209億トンキロに対し、164億トンキロ(2024年度)だった。
国交省、経産省/「令和7年度 物流パートナーシップ優良事業者」を募集