帝国データバンク(TDB)は1月8日、レポート「人手不足倒産の動向調査(2025年)」を発表した。
2025年の人手不足倒産は427件で、3年連続過去最多を記録した。2024年の342件から85件、24.9%増となり、年間の記録では初めて400件を超えた。
人手不足倒産は、従業員の退職や採用難、人件費高騰などを理由としたもの。2025年に倒産した企業のうち77.0%にあたる329件が「従業員10人未満」の小規模企業であり、従業員1人の退職が大ダメージになりやすい企業が、人手不足の影響を大きく受けている。
業種別では、建設業が113件(前年比14件増)と初めて100件を超えた。また、物流業も52件(6件増)と高く、2024年4月から時間外労働の新たな上限規制が設けられた両業種は、いずれも過去最多を記録した。
その他、老人福祉事業が21件(7件増)、労働者派遣業が13件(5件増)、美容業が11件(2件増)、警備業が10件(4件増)など、労働集約型の業種では、人手不足倒産は増加傾向にあった。
過去の調査では、2026年の懸念材料として「人手不足」をあげた企業が44.5%、今後の景気回復に必要な政策として「人手不足の解消」をあげた企業が37.0%だった。
各項目でいずれも「人手不足」に関連した回答が2位になっていることからも、人手不足が経営に及ぼす影響を、経営課題として捉えている企業が多いことがうかがえる。
こうした情勢で、配偶者特別控除が満額受けられる配偶者の所得税非課税枠、いわゆる「年収の壁」が2025年度に103万円から160万円に引き上げられた。また、2026年度には178万円に引き上げられることが税制改正大綱に盛り込まれている。
この流れは、非正社員が年収の壁を超えないようにする「働き控え」の回避につながる可能性があり、ある程度の人手不足緩和へ効果が期待される。
一方で、企業では人材確保のため賃上げを進める動きがみられる。毎年春ごろに労働組合が企業に向けて行う「春季生活闘争」が2025年に行われた際には、民間主要企業の賃上げ率が平均5.52%となり、2年連続で5%を上回る、前例を見ない賃上げ率を記録していた。
2026年も物価高を反映することでこの機運は高まると見られているが、流れに追随が難しい小規模企業を中心とした「賃上げ難型」の倒産が懸念され、人手不足倒産の件数は当面、高い水準を維持し続けるとみられている。



