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レッドウッドグループジャパン/スチュアート・ギブソンCEO トップインタビュー

2014年09月30日/物流最前線

18か月以内に50万平米の物流施設を供給を目指す

レッドウッド・グループ・ジャパンを一員とするレッドウッドグループは2006年7月に誕生した。

中国国内では9物件の開発に携わり、日本国内でも、市川原木ディストリビューションセンター、最近着工した生麦ディストリビューションセンターなど計5物件の物流施設に携わっている。

レッドウッド・グループを意欲的でフレキシブルでフレンドリーな組織というスチュアート・ギブソンCEOに今後の展望を聞いた。

<スチュアート・ギブソンCEO>
20140924redwood1 - レッドウッドグループジャパン/スチュアート・ギブソンCEO トップインタビュー

日本の近代的物流施設建設の歴史を生きる

―― レッドウッドグループを設立する前はプロロジスやAMBブラックパインでした。

スチュアート・ギブソン(以下ギブソン) レッドウッドグループを設立したのは2006年7月です。経緯がちょっと複雑ですが、1998年に私はプロロジスの日本法人の代表でした。最初の物件としてDHLのBTSなどの開発にあたりました。プロロジス在籍後の2003年にブラックパインを設立し、その後物流施設の方向性が合致した米国のAMBとジョイントベンチャーでAMBブラックパインを誕生させました。出資額は50対50でした。ブラックパインの命名は黒松=盆栽ということで日本のイメージを出したかったからです。

―― その後AMBブラックパインを離れました。

ギブソン AMBブラックパインは大成功をおさめ、AMBの持つ18のジョイントベンチャーで最高の利益を出していました。2006年7月にAMBブラックパインの私の持ち分をAMBに売却し、同時にレッドウッドグループを設立しました。持ち分は売却しましたが、2010年まで私はAMBプロパティージャパンのアドバイザリー委員会委員長を務めていました。

―― レッドウッドの意味は。

ギブソン ブラックパインが黒松=盆栽のイメージでしたが、今度はカリフォルニアのレッドウッド国立公園からイメージしました。盆栽が最小だとすれば、セコイア科のレッドウッドは最大の木ということです。屋久島の縄文杉と同じように何千年も生きていることから名づけました。

―― 2011年からレッドウッドグループの活動です。

ギブソン ようやく日本国内で物流施設開発ができる、再参入できると思った時に、東日本大震災が起こりました。2007年以降の金融危機からの立ち直りが見え始めた頃でしたが、大震災で一挙に投資家の心理が冷え込みました。そこで、目先を変え、中国をターゲットとし、2012年にチームを立ち上げました。順調に推移し、現在では9つの開発物件、完成1物件を擁しています。

―― 日本でのスタートは2013年の市川原木ディストリビューションセンターⅠ。

ギブソン そうです。西濃シェンカー向けのBTSの開発でした。2013年9月に竣工しました。現在、千葉県で佐倉ディストリビューションセンター、成田ディストリビューションセンター、原木ディストリビューションセンターⅡ、神奈川県で生麦ディストリビューションセンターの建設を進めています。

物流施設は生産性を高めるインフラそのもの

―― 日本の現在の物流環境をどう見ていますか。

ギブソン 日本の物流市場にはポジティブな予想をしています。即日配送など消費者の要求が厳しくなってきたため、物流業界も当然のように競争が厳しくなっています。E-コマースの発展がダイナミックな変革の推進力になっています。

―― このところの倉庫建設は過剰ではという声も。

ギブソン 戦略的な物流網を構築・整備しないと、企業は戦えない時期に来ています。物流会社も企業のニーズに合わせて、小さな倉庫を集約し大きな倉庫の拠点整備を図る動きも盛んです。日本全体の倉庫の内、近代的な最新鋭倉庫の割合はほんの3%程度にしかすぎません。

―― まだまだ成長の余地はあると。

ギブソン これからですよ。私は倉庫を不動産とは考えていません。純粋なインフラストラクチャーだと考えています。港湾や高速道路と同様、生産性を高めるインフラであると。例えば、旧来の古い倉庫はほとんど所有者が運営し、その所有者の必要な荷物を置くだけだったはずです。最新鋭のマルチテナント型の物流施設だと、汎用性も高く投資環境にも最適と言えます。

―― 物流施設建設でのポリシーは。

ギブソン 当然立地が一番の要素になると思います。入居者が望んでいる立地でないと、いくら施設の内容が良くても、それは受け入れられません。E-コマースの発展で、ますます要望が過酷になってきていますが、この点は最大の努力を傾けます。

―― 施設面で、重視している点は。

ギブソン きれいなトイレや談話室など働く人たちの福利厚生面はすでに当然の要件になっています。暖かい食事を常に提供できる食堂などの要望も強くなっています。駅からの近さや近隣に快適な住環境があるかないかも、従業員獲得には大きな要素になります。さらに、今後は、さまざまな機能を持つマルチセンター的な役割も大きくなると思っています。例えば、保管、ピッキングや検品、梱包、箱詰めのほか、写真撮影や修理、補修、さらに代金回収などといった新たな付加価値をつける場所に変化していくものと思います。すでに、実行に移している物流企業もいくつかありますね。

―― 今後の展開は。

ギブソン 今後18か月以内に50万㎡の物流施設の供給を目指しています。東京、埼玉、神奈川、千葉、大阪、名古屋の3大都市圏に集中して展開していきます。3大都市圏以外は今のところ考えていません。また、1年以内に韓国とインドネシアをターゲットに物流施設建設の道筋をつけていきたい。インドネシアには日系企業の進出も多いですし、親日的な国ですからね。

―― 日本との関わりはどのくらいになりますか。

ギブソン 1987年に赴任してからですから、丸27年間アジアで生活しています。アジアに来て驚いたのが、海の美しさと気候の温暖なことです。私はスコットランド出身ですから、全然海の美しさが違いますね。そのため、セーリングを趣味としています。この間も米国カリフォルニア州のサンディエゴからオーストラリアを4か月かけて走破してきました。日本国内では普段はテニスを楽しんでいます。

―― スコットランドだと今日(9月18日)の住民投票が気がかりですね。

ギブソン まったく。今日は夜も眠れませんよ。

―― 最後に読者にコメントを。

ギブソン レッドウッドグループジャパンはまだまだ規模は小さいですが、その分フレキシブルな対応が取れるとても意欲的でフレンドリーな会社ですのでなんでも相談していただきたいと思っています。私は基本的に毎日会社に通っていますから、出張以外はいつでも会社に常駐して、重要な決断がすぐに下せるようにしています。

<スチュアート・ギブソンCEO>
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■スチュアート・ギブソンCEOプロフィール
1964年スコットランド生まれ。
アジアでの不動産開発と投資の経験が27年間以上あり、その内、日本での経験は16年間。永住者資格を保有。
元プロロジス日本代表者。プロロジスでは、アジア地域の開発とマーケティング責任者、日本、ベルギー、イタリア事務所のカントリーマネージャーを歴任。前AMBブラックパイン共同設立発起人且つ共同CEO、AMBプロパティ―ジャパンのアドバイザリー委員会委員長を歴任。

従事した主なプロジェクト
タイ王国のBOO方式(Build-Own-Operate)のインフラストラクチャー整備、 豪州(ブルーム)のケーブルビーチリゾート開発、豪州(メルボルン)のCBDオフィス開発、豪州(シドニー)のシティ・ウェスト地区開発、ロンドンの高級住宅地開発など。

<レッドウッド市川原木ディストリビューションセンター>
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<レッドウッド佐倉ディストリビューションセンター正面>
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<レッドウッド佐倉ディストリビューションセンター背面>
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<レッドウッド生麦ディストリビューションセンター>
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■レッドウッドグループジャパンの保有物件(開発中)
・レッドウッド原木ディストリビューションセンター2
所在地:千葉県市川市原木/竣工予定2015年5月/延床面積1万2400㎡

・レッドウッド生麦ディストリビューションセンター
横浜市鶴見区/2015年10月/6万500㎡

・レッドウッド佐倉ディストリビューションセンター
千葉県佐倉市/2015年11月/8万5400㎡

・レッドウッド成田ディストリビューションセンター
千葉県山武郡/未定/2万2000㎡

保有物件(アセットマネジメント受託)
・レッドウッド市川原木ディストリビューションセンター
市川市原木/竣工2013年9月/3万2700㎡

■レッドウッド・グループ・ジャパン
東京都港区虎ノ門4-1-17
TEL:03-4578-7121
http://www.redwoodgroup.com/index.html

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