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日本郵船/海上貨物の伸び率、鉄鉱石などのメジャーバルクで低下予測

2018年11月01日/調査・統計

日本郵船は11月1日、ドライバルク・原油の海上荷動きと船腹需要の見通しについての調査結果を発表した。

ドライバルクと原油の海上荷動きについては、2027年までの伸び率として1.09倍(年平均伸び率0.9%)を予測している。過去10年間(2007~2017年)での伸び率は1.32倍(2.8%)だったが、伸長をけん引していた鉄鉱石や石炭、穀物といったドライバルクのメジャーバルクの伸び率が今後10年間で縮小する見通しのため、全体の伸び率も低下を見込んでいる。

ドライバルクの船腹需要動向については、鉄鉱石が2018~2020年にかけて大幅に減少するほか、石炭が2019~2020年にかけて緩やかに減少する。穀物は2018年に減速するが、2019~2020年にかけて伸長する見通し。船腹の供給動向については、ケープ型が堅調な一方、パナマックス型は2019~2020年にかけて減少すると予測している。

原油の船腹需要動向は、2018年に大幅に減少し、2019~2020年にかけて緩やかに増加。供給は2018年に大幅な減少を見込むも、2019~2020年にかけては堅調に推移するとしている。

貨物別に見た今後10年間の輸出入量の推移については、鉄鉱石でコスト競争力に優れるオーストラリアとブラジルによる輸出の寡占傾向が強まり、輸入面では最大消費国である中国のシェア・数量が経済構造の転換や電炉による粗鋼生産の増加を受けて低下するとしている。

高炉などに用いる原料炭は、コスト競争力が高いオーストラリアからの輸出が拡大し、米国からの輸出は中期的に減少が続く。輸入側ではインドが粗鋼生産の増加を受けて拡大する一方、中国は緩やかに減少する見通し。

発電用などの一般炭は、輸出側で国内供給増加を受けてインドネシアが減少、オーストラリアは輸出量を伸ばす。輸入側ではインドが中期的に増加基調にあるほか、欧州や北東アジアで減少し、世界の石炭需要がインド洋中心へとシフトするとしている。

穀物については、米国とブラジルからの輸出が増加、輸入側では中国が大きく伸長し、EUやメキシコ、日本では横ばいが続く。

原油では、シェールオイルの生産拡大で米国からの輸出が増加。中東のシェアは50%を維持し、中南米は減少する見通し。輸入側では、北米が減少する一方で、中国やインド、ASEAN地域で増加を見込んでいる。

2017~2021年までの船腹量の見通しについては、バルカーで年率1.4%、タンカーで1.2%の伸び率を予測。バルカー・タンカーともに、バラスト水処理やSOxなどの環境規制に対応していない旧型船の解撤が進むことから、伸び率が過去9年間(2009~2017年)と比較して低下するとしている。

この調査は、日本郵船の調査グループが通関統計などのデータを集計し、各国のGDP成長率や原材料・エネルギー資源の生産・消費・貿易・海運・造船などに関する社内外のデータ等を基に、独自の手法で取りまとめたもの。「Outlook for the Dry-Bulk and Crude-Oil Shipping Markets(海上荷動きと船腹需要の見通し)」の2018年版として刊行し、11月7日から販売を開始する。

<(右)日本郵船調査グループの山田グループ長、(左)調査グループ バルク・エネルギー調査チームの林チーム長>
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日本郵船調査グループの山田喜之グループ長は、「貨物別に見たドライバルクの今後10年間の伸び率が、メジャーバルクで減少する一方、マイナーバルクで増加する傾向にある。これは昨年に実施した調査結果と同様の傾向であり、改めて構造が変化していると実感した」と、調査への感想を語った。

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