矢野経済研究所は2月16日、国内の医薬品・医療器材物流アウトソーシングビジネス、医療器材通信販売ビジネス、中古医療機器流通ビジネスなどを調査し、市場規模、参入企業動向、将来展望を明らかにし公表した。
それによると、医薬品・医療器材物流アウトソーシング市場の規模(受託企業売上高ベース)は、前年度比3.8%増の1100億円となった。医薬品・医療器材等の出荷量および物流関連企業等への委託率の増加、委託業務範囲の拡大などが続いており、このアウトソーシングサービスの市場は堅調な推移を示している。市場規模は2011年度比で約1.6倍に伸びている。
注目トピックとしては、外部委託先の選択肢幅などが広がっているようだ。近年、医薬品・医療器材の物流管理サービスへの参入は増加、とくに大手の物流・倉庫企業等によるこの分野を対象とした大規模な物流センター開設投資が目立っている。
製薬企業等では外部委託先の選択肢幅が広がり、現契約先の見直し検討機運なども認められる。2018年12月、厚生労働省から医薬品流通基準に関し日本版GDP(Good Distribution Practice)ガイドラインが発出され、医薬品の物流業務についてもGDPに基づく品質管理が求められるようになっている。GDP対応可能かどうかは外部委託先選定の重要なポイントになっている。
将来展望では、医薬品・医療器材のメーカー物流業務アウトソーシングの観点では、業界内の外部委託比率は6割以上になっていると言われており、物流関連企業の新規開拓先は限定される方向にある。ただし、医療分野は景気変動の影響を受けにくいこともあり、物流関連企業にとってその受託事業の安定性は、引き続き魅力的である。
最近では、個別企業の物流のあり方に限らず、業界全体のサプライチェーン最適化を目的とした、本格的なデジタルプラットフォーム導入のための議論なども生まれている。
一方、医薬品卸売業等においては、メーカー物流から患者等への末端流通にいたるまでの関与の動きが顕著になっている。とくに再生医療等製品などでは商流と物流を一体で捉える必要性が高まっており、卸売業と物流関連企業との緊密な連携が求められる、としている。