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日野自動車/国内向けエンジン認証で燃費改ざん等の不正行為

2022年03月04日/IT・機器

日野自動車は3月4日、日本市場向け車両用エンジンの排出ガスと燃費に関する認証申請で、不正行為を確認したと発表。都内で緊急会見を開き、下 義生会長と小木曽 聡社長が事態について説明を行った。

<出荷停止対象エンジン・車種>
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不正が発覚したのは、中型エンジン「A05C(HC-SCR)」、大型エンジン 「A09C」「E13C」の3機種。日野はこれらのエンジンとその搭載車両について、4日付で出荷を停止している。出荷停止台数は年換算2万2000台で、国内販売台数の35%にあたる。

中型エンジン「A05C(HC-SCR)」では、排出ガス性能の劣化耐久試験で排出ガス浄化性能が劣化し規制値に適合しない可能性を認識した上で、排出ガス後処理装置の第2マフラーを途中で交換し試験を継続していた。また、排出ガス劣化耐久性能の再試験結果から、経年変化によって排出ガスの規制値を超過する可能性があることも判明している。

対応として、同エンジンが搭載された中型トラック「日野レンジャー」の出荷を停止。再発防止策を講じた上で、出荷再開に向けた対応を進めるとともに、経年変化による排出ガス規制値超過の可能性に対しては使用過程車へのリコール等の対応準備を進めるとしている。

大型エンジン 「A09C」と「E13C」では、認証試験の燃費測定で測定装置を操作し、燃料流量校正値を燃費に有利に働くような数値に改ざん。実際よりも良い燃費値を燃費計に表示させるようにして試験を実施していた。

対応として、同エンジンを搭載する大型トラック「日野プロフィア」と大型観光バス「日野セレガ」の出荷を停止。今後、再発防止策を講じた上で出荷再開に向けた対応を進めていくほか、使用過程車については正しい諸元値を確認した上で必要な対応を行うとしている。

また、日野はこれら3機種に加え、小型エンジン「N04C(尿素SCR)」についても燃費性能の問題を確認。現在調査中のため不正行為の有無は不明だが、技術検証によって実際の燃費性能が諸元値に満たないことが判明しており、使用過程車に対して正しい諸元値を確認した上で必要な対応を行うとしている。

日野は、これら4機種の問題を国土交通省と経済産業省に報告した。これらのエンジンを搭載した車両については、排出ガスと燃費に関する税制優遇への影響を精査し、追加納付が必要な場合は自社で負担するとしている。

なお、今回判明した不正行為およびエンジン性能に関する事項は、走行機能に影響はなく安全上の懸念が発生するものではないとしている。

<緊急会見で事態を説明する下会長(右)と小木曽社長(左)>
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今回の不正発覚の経緯としては、北米市場向け車両用エンジンについて社員が2018年11月に排出ガス認証に関する課題を認識。日本市場向けエンジンにも調査対象を拡大したところ、現行規制である平成28年排出ガス規制(ポスト・ポスト新長期規制)対象エンジンの複数機種で、認証手続き上の不正行為があったことを確認するとともに、エンジン性能にも問題があることが判明した。

不正が起こった原因としては、現場での数値目標達成やスケジュール厳守へのプレッシャー等への対応が取られてこなかったことが問題の背景にあると説明。

小木曽社長は「問題が発生した時期は、エンジンの開発と認証データ取得を同一の部門で行っていた。そのため、目標必達のプレッシャーやリードタイム不足によって適切な対応がとれていなかった」と説明したうえで、「2021年4月からは組織変更によって開発と認証データ取得の部門を分けている。今後の会社経営では、コンプライアンス最優先の姿勢を明確にし、業務プロセスの見直しなどガバナンスの改善に加え、従業員一人ひとりの意識改革を進めていく」と、再発防止に向けた対策を語った。

また、下会長は「このような不正行為はメーカーとしてあってはならないこと。全てのステイクホルダーにお詫びするとともに、社内の改革を徹底し、再発防止を図っていく」と述べた。

今後、日野は総点検として、エンジン認証手続きに関する徹底的な事実関係の調査、認証プロセスの遵守状況、エンジン性能の検証を継続するとともに、外部有識者による特別調査委員会を設置し、事案の全容解明および真因分析に加え、当社の組織の在り方や開発プロセスにまで踏み込んだ再発防止策の提言を受けるとしている。

<頭を下げて謝罪する下会長(右)と小木曽社長(左)>
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<平成28年排出ガス規制対象エンジン一覧>
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