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特別企画
人を育て人を守る「仙台長町未来共創センター」竣工
フクダ・アンド・パートナーズ挑戦の軌跡を追う
ー前編(黎明編)

2022年06月10日/物流最前線

事業は“想い”から始まり、数多くの「縁」が後押しする

<東日本大震災の様子>
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<震災後の復旧活動の様子>
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東日本大震災での物流施設の復旧活動は、同社の建設技術の専門性や、営業と技術陣が一体となった取組みと機動力で、顧客に役立ち感謝された。同時に11年前の同社(F&P)は、まだまだ小さい会社だったので、「もっと大きな会社だったら、もっと多くの人の役に立てたのに」と思ったという。ゆえに物流施設の設計事務所兼不動産サービス会社として「何か地域に貢献できることはないだろうか」ということを常に考えるようになっていた。そんな折、仙台長町に「縁」があり土地を購入することができた。しばらくは駐車場として使用していたが、いよいよ土地を有効活用するタイミングになり、社会や地域に貢献する施設を開発しようと決意した。

そこで、福田社長は動く。本当に地域に必要なものは何かを探すため、仙台市各局、太白区、東北大学、地域、企業やキーマンにF&P内プロジェクトチームと共に会って、ニーズを聞いて回った。

ある時縁の深い深松組・深松社長に社内講演をしてもらった。深松社長が震災当時、仙台市建設業協会の副会長(現会長)を務めていたこともあり、「東日本大震災を通じて考えるBCP」というテーマにて、がれきの撤去や廃材の処理等震災時の復興作業の大変さや、そこから学ぶ対策や備えについて講演してもらった。その講演で「仙台と東京が地震で同時に被災する可能性は少ない」と話していた事が、心に残っていて、仙台長町の開発にあたってF&PのBCPに、仙台長町を首都圏大災害時の経営執行代替拠点にしてはどうかという仮説を立てた。
そこでBCP物流で実績の豊富な丸和運輸機関の和佐見社長に相談し、その中で、東北大学災害科学国際研究所副所長の丸谷教授を紹介してもらう。そして、F&Pの社員を防災とBCPの教育ということで、東北大学災害科学国際研究所に送り込む。そこで学び、F&Pの経営執行代替施設を仙台に設置する最終判断をしただけでなく、東日本大震災の教訓を活かしたBCPや防災の実装をする事の重要さを学び具体的計画に活かした。

隣接の、東北丸和ロジスティクスにF&Pチームがリーシング営業して、入居ニーズありとなったことで、物を「運ぶ」機能を備えられる「縁」と「力」を得たと感じた。長町エリアは、南側に地域の人が使える大きなセミナールームや研修施設がないという役所や町内会長からのニーズを思い出した。2Fをセミナールームベースにして、備蓄倉庫を構え、併せて丸和運輸機関のAZ-COMネットワークと連携できないかと考えた。そして更に、‘運ぶ力‘を活用させて頂けないか和佐見社長に何度も相談した。

平常時は地域に貢献するセミナールーム。例えば入居テナント向けの貸会議室、SDGsやBCPに関するセミナー開催、さらには、丸和運輸機関のAZ-COMネットワークの研修所として活用してもらえないか、と考えた。同時に、災害時には帰宅困難者の一時受け入れ先に変化するスペースにできないかと考えを膨らませていった。

和佐見社長は真剣に相談に乗り、いろいろアドバイスもくれた。丸谷教授を紹介することから始まり、東北大学で学んだBCPの実装と共に、丸和運輸機関の和佐見社長の理解を得て、AZ-COMネットワークの「運ぶ力」も味方にした。災害時に長町駅周辺から地域の人を受け入れる施設として、丸和運輸機関と共に地域貢献できる施設へと、“想い”が形になっていく。

次>構想・計画を膨らませ、実現へ

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