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汗のかけるプラットフォーマー登場
物流業界の「真のサードパーティー」になる

2022年12月08日/物流最前線

ph3 - 物流最前線/ロジテック トップインタビュー

「汗のかける」 プラットフォーマー

――  このたび新サービス「ロジパレ」を新たに開始しました。新サービスを開始した背景は。

川村  まず、これからも現行のアウトソーシング業務は今まで通り継続していきます。そのうえで、新サービスは物流業界の企業同士をつなぐマッチングのプラットフォームとしての役割を担います。商品の入庫~出庫までが当社で実際に手がけているアウトソーシングの領域ですが、それは物流の過程のほんの一部分で、当然その前後にも仕事があるわけです。そういった部分の仕事はどうするのかと言えば、当社はトラックを保有していませんので協力会社さんに依頼することになります。また、場合によっては当社の倉庫ではスペースが足りない、またはロケーションが合わない場合などは、別の倉庫を借りてそこで業務を行うこともあります。そうなると、多くの要素がさまざまなプレーヤーや事業者さん同士が、お互いに不足する部分を融通し合うことで成り立つモデルなのではと考えたのです。

加えて、一部の企業による寡占状態で、その他の中小企業さんや、高い技術力をお持ちでも仕事を受注できていない企業さんが結構いらっしゃるなということを、物流業界のお仕事をさせて頂いてからより強く感じるようになりました。今までは派遣先としてのお付き合いだったものが技術提供してもらう関係に変わったことで、改めてそうした企業さんの技術レベルの高さに気付くことができましたが、一方で「これだけ技術レベルが高い会社なら、引く手あまたで手一杯なはず。それなのに、いつも急な仕事を受けてくれるのはなぜだろう」という疑問が生まれました。そこで気が付いたのが、高い技術力がありながらも営業力が追い付いていないため、仕事を受注できていない企業さんの存在です。そこを上手くマッチングすることができれば、より多くの仕事を請けられるようになるのではと考えました。

当社はグループ内に派遣会社を有しており、千数百社の取引先があります。そうした知見やリソースを上手に絡めていき、かつ我々の営業力を加えることで、そうした企業の営業を私たちがお手伝いできるのではないかと考えました。当社がいわゆるプラットフォーマーとなり、運送会社さんや倉庫会社さん、人材会社さんを「ロジパレ」というプラットフォームの中でつなぎ合わせ、力を合わせることで案件を成立することができるとの仮設から、このサービスを開始することになったわけです。

<新サービス「ロジパレ」の概要図>
ph4 - 物流最前線/ロジテック トップインタビュー

<「ロジパレ」のサービスロゴ>
ph5 - 物流最前線/ロジテック トップインタビュー

――  サービス名称にはどのような意味が込められているのですか。

川村  物流業界の方がパレットという言葉から連想するのは、荷物を運搬する際に使うあのパレットですよね。まずはそれが1つです。あとは絵の具のパレットにもかけており、さまざまなカラーを持った会社さん同士が組むことで化学反応が起き、新しいものが生まれる場になって欲しいという思いも込めています。パレットの中で絵の具同士が混ざり合い、違う色ができた経験は誰しもがお持ちだと思います。ロジパレではそういったビジネスマッチングが組み合わせ次第で無限にできるのではないかと期待しています。

――  これまで御社で手がけてきたアウトソーシングとの違いは。

川村  自分達だけで全てをやり切るというのが今までの展開でした。ロジパレは、外部協力会社を積極的に交えての作業履行を目指すことで、ロジテックとしての引き受け範囲を拡大し、受注機会を待つ技術力の高い協力会社にジョインしてもらう、こういうモデルです。通常、この方法では例えば紹介手数料のような料金の取り方をしないとビジネスとして成立しないのですが、ロジパレが考えるマネタイジングはその類ではありません。案件が発生した場合、そこには必ず業務を回すための手数が必要になります。急に入ってきた仕事や短期の案件になった場合、アルバイトを探してくるよりもバイトレに頼んだ方が早いとなれば、本業である人材紹介領域でのマネタイズが可能になると、こういった思惑もあります。

――  プラットフォームの中に自らプレーヤーの1社として参画し、利益を創出するということですね。

川村  そうですね。基本的にマッチング自体で手数料は頂きません。

――  もし事業者さん同士で仕事が完結してしまった場合はどうなるのですか。

川村  その場合は無償ということになりますが、例え事業者さん同士でお仕事が完結したとても全く問題はありません。ビジネスが生まれることは業界的にプラスですし、いずれその恩恵は当社にも返ってくると考えています。ですが、ロジパレの本来の価値は「情報量」「人材提供力」「事業者間をつなげる力」にありますので、事業者さんにはこれらのメリットを活用して、より大きな仕事の獲得につなげて頂きたいですね。そのなかで当社も人材を提供し、事業者さんをサポートする。こうした形がロジパレの力を最大限に発揮できると考えています。

――  物流に関連する業務であれば、どこにでもマッチングの可能性があるわけですね。マッチングの仕組みとしては珍しいスキームですね。

川村  物流関連のマッチングができるプラットフォーマーさんは当社以外にも存在しますが、場を提供するだけで実際の現場作業には関与しないケースがほとんどだと思っています。汗をかかないプラットフォーマーが多いということです。ですから、何かあったときの対応で後手を踏むなど、必ずそういうことが起きてくると思っています。例えば、「当事者間でマッチングが成約したのだから、そこから先は私たちは関与しない」と、多くのプラットフォーマーは言い切ってしまうのですが、サービスを利用する側は「そこを何とかして欲しいのに」と思うわけです。

そこを何とかするというのが「汗をかく」という表現なのですが、それでいうと私達は自らが作業を履行しますし、倉庫も持っています。何かあったときに同じだけの責任を感じ、緊張感を共有することができるのです。この「汗のかけるプラットフォーマー」であるという部分が、当社と他のプラットフォーマーとの最大の違いだと思っています。

――  例えばスタッフが突然仕事を休んでしまった場合には、御社ではどういった対応をされているのですか。

川村  人材を派遣するケースでは、場合によっては謝罪して終わることはもちろんありますが、何人かの欠勤があるという前提でバッファーを持たせる等の対策は講じています。また、請負の現場の場合は人数を揃えるだけはなく作業を完遂させることが目的ですので、出勤は午後からでもいいだとか、自社の社員を投入するだとか、さまざまな解決策が考えられます。ですが、この負荷をテイクしたがる人は極めて稀ではないでしょうか。その点が差別化につながると考えています。

――  これまでの派遣業を通して培ってきたことが生きているのですね。

川村  おっしゃる通りです。派遣業の中でも短期派遣領域は、関係法令の規制強化により、展開する企業は非常に少なくなっています。大手企業は、正社員紹介や長期契約の派遣を中心に展開しているところばかりです。今、これだけECが伸びていて物流の人手不足が話題になっているのにも関わらず、彼らが参入してこないのはなぜか。それは、短期契約の派遣業がしんどいためです。バイトレ社を立ち上げた当時もそうでしたが、彼らは金額を含めた条件が苦しい所には絶対に参入してきませんでした。であるならば、私たちがそこに根を張って事業を展開すれば一強になれるだろうと考え、実行に移した結果、それを証明することができました。

それと同様のことを物流業界でもやれるのではないかと思い、新たに開始したサービスが「ロジパレ」です。物流業界には大手の3PL事業者さんがいて、プラットフォーマーと呼ばれる存在の方も増えています。では、下請けや孫請けに投げてしまうような小さい作業であったり、短期の仕事は誰がどのように引き受けているのだろうかと考えたときに、これはバイトレ設立時と同じ状況だと気が付きました。今はすでにリソースとして千何百社の取引先を有しており、作業人員を手配できるバイトレがいる。であるならば、ロジテックがこれらの情報をしっかりと繋ぐことさえできれば、プラットフォームとして成り立つのではないかという考え方ですね。

――  ロジパレのプラットフォームの中には、既存事業で取引のある事業者さんが登録されている状態なのですか。

川村  そうです。今後、サービスの展開に合わせて参画して頂ける企業さんがどんどん入ってくるという流れを期待しています。

<Youtubeのロジパレ紹介動画>

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