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価格転嫁率/トラック運送業は19.4%、費用増のうえ減額も

2023年06月20日/調査・統計

中小企業庁は6月20日、価格交渉促進月間(2023年3月)のフォローアップ調査の結果を公表した。

同庁では、毎年3月と9月を「価格交渉促進月間」として設定し、中小企業が、原材料費やエネルギー価格、労務費などの上昇分を、発注側企業に適切に価格転嫁をしやすい環境を整備するための取組を進めている。

今回公表した調査結果は、中小企業等を対象にしたアンケート調査(調査期間4月7日~5月31日、回答企業数 1万7292社、回答から抽出される発注側企業数のべ2万722社)と、下請Gメンによる電話でのヒアリング(調査期間4月17日~28日、件数約2243社)の結果をもとに、業種横断及び業種別に調査結果をとりまとめたもの。

<直近6か月間の価格交渉の状況>
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トラック運送業の直近6か月間の価格交渉の状況をみると、価格交渉について話し合いが行われた割合は51.3%で、協議を申し入れなかったは31.3%、協議が行われなかったは17.4%となった。

<直近6ヶ月間の価格転嫁の状況【コスト全般】>
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直近6か月の価格転嫁率は19.4%。転嫁率の割合は、0割とする回答が最多で48.3%を占めた。次点は1~3割で23.4%。費用が上昇したにも関わらず逆に減額されたケースは3.0%あった。

また、下請Gメンによるヒアリングでは、よい事例として「2022年秋に取引先から価格協議の話があり、自社要望どおりの運賃料金引き上げができた。さらに2023年3月には、急激なコスト上昇により困窮していないかとの協議の話があり、価格協議にむけて準備中である」や「2022年末に交渉の末、労務費値上げを満額認めてもらえた」といった声があった。

一方で、「2022年以降、価格交渉の希望を取引先に伝えているが、取引先の顧客である荷主の意向が強く交渉が実現しない」「2年前から文書で価格交渉を依頼しているが、今に至るまで交渉の場を設けてもらえていない。担当者に電話をかけ依頼するが、のらりくらりとかわされ、実現できていない」「自社から価格交渉を行っている。 価格アップを要望してもほとんど応じてもらえない。交渉してもこちらの状況は聞いてもらえず、『親会社の意向』と言われる」といった、問題のある事例も多く見受けられた。

<価格交渉状況の業種別ランキング(価格交渉に応じた業種)>
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トラック運送業の調査結果を見ると、価格交渉状況の業種別ランキング(価格交渉に応じたか、回答を点数評価し、発注側企業の業種別に集計)では、2022年9月が全業種中最下位の27位だったのに対して、2023年3月は順位を一つ上げて26位としたが、全業種で見ると相対的に価格交渉には応じていない業種にあたる。

<価格転嫁状況の業種別ランキング(価格転嫁に応じた業種)>
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価格転嫁状況の業種別ランキング(価格転嫁の状況について、発注側企業の業種別に集計し、転嫁率順に並べた結果)では、2022年9月、2023年3月ともに順位は最下位の27位から変動はないが、コスト増に対する転嫁率は20.6%から19.4%に低下した。

<業種別の価格転嫁ランキング(価格転嫁を要請して、応じて貰えた業種)>
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業種別の価格転嫁ランキング(受注側企業サイドから見て、発注側企業に対して価格転嫁して貰えたかを集計)では、2022年9月、2023年3月ともに最下位と、相対的には価格転嫁できていない業種にあたるが、コスト増に対する転嫁率は18.6%から21.1%に上昇している。

<価格交渉の状況(業種全体)>
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なお、業種全体の価格転嫁の状況は、価格転嫁率が前回調査の46.9%から47.6%へ微増となった。また、価格交渉や価格転嫁いずれの回答の内訳でも、良好な結果になった割合が増加する一方、良くない結果となった割合も増加し、二極化が進行した。

中小企業庁では、今後のさらなる価格転嫁対策として、公正取引委員会をはじめ関係省庁と連携し、発注側企業ごとの価格交渉・転嫁状況のリストの公表と、下請振興法に基づいた事業所管大臣名での経営トップに対する指導・助言を、それぞれ8月以降に実施する。

また、各業界団体による自主行動計画を改訂・徹底するとともに、各業界団体による取引適正化の取組状況フォローアップを公正取引委員会と合同で実施。パートナーシップ構築宣言についても、さらなる拡大によって実効性の向上を図る。

さらに、新たな対策として、7月から全国のよろず支援拠点に「価格転嫁サポート窓口」を設置し、中小企業等に対する価格交渉に関する基礎的な知識の習得支援や、原価計算の手法の習得支援を実施する。

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