連載第3回「Z世代の活かし方と育て方(3)」
若手(Z世代)の定着・成長のカギは、彼らの存在や主体性発揮の場創りに腐心することです。前回(第2回)では、「若手がやる気になって早く定着化してもらうには、小さくても良いので成功体験を数多く積んでもらい、これを繰り返すこと」が大切だとお伝えしました。今回は、好事例となる2つの取組みのうち、1つをご紹介したいと思います。
取り組み(1)
職場の安全衛生防犯パトロール隊や5S委員会、自衛消防隊等に参加してもらう
職場の基盤的運営ルールである安全・衛生・防犯や5S活動。ベテランだけに任せると「当たり前」や「今更」といった意識が強く、また、忙しさの中で後回しになり結果として誰も手を付けず、春の季語のように長年改訂されないまま放置される、となりがちですが、こうした取り組みを若手に任せることで、迅速に改善が進む好事例になります。
若手は、活動を通して多くの人にヒアリングし、コミュニケーションが取れるため、職場で顔や名前を広く覚えてもらうことができます。「活動の狙いや良否の判断基準を先輩から伝授してもらいつつ、現状に合わないチェックシート等はどんどん改善提案して欲しい」という期待タスクを与えると、目的意識に納得し、頑張って取り組んでくれます。
職場の問題点をしっかり観る習慣も醸成され、安全で安心、魅力的な職場(魅せるショールーム物流センター)を創りあげようというビジョンにも、良く納得してくれます。職場の朝昼礼や会議体の場が、若手が堂々と改善策を発表できる、素晴らしい経験・晴れ舞台(育成の機会)になるのです。
また、所属チーム以外の交流仲間も増えるため、一石三鳥です。今までは埋没気味であったり目立たなかった若手が、一気に舞台へ登場し、職場の有名人になります。職場の問題点を把握し、自分で考え・提案、率先垂範行動できる「自立型人財」へと変化するための絶好の育成機会です。
この取り組みでは、社歴が浅い若手に「自分はやったぞ!」と感じてもらえる成功体験や、「期待されている」という自己認識を持ってもらうことが重要です。
筆者(菅田)は、彼ら若手を組織ルール変革の起爆剤にする、最近の言葉でいえば、若手のやる気醸成や、心理的安全性向上、ウエルビーイング活動による職場への帰属意識向上といわれる取り組みを加速させたいとも願って取り組んできました。
学生時代に学んだ方もいるかと思いますが、人間可能力開発のセオリーである「マズローの欲求5段階説」(連載第2回で紹介しています)でレベル4(自我欲求)やレベル5(自己実現欲求)となる活動です。
「若手が幸せに感じる時、やる気を感じる時とはどんな場合だろう?」と、疎外感を与えないよう、OJT活動(オンザ・ジョブ・トレーニング)を通じて育てていこうと考え、積極的に若手を巻込んできました。
ぜひ、あなたの職場でも実践してみて下さい。若手の活性化になること請け合いです。
<【添付資料】3つのサイクル輪(Will、Must、Can)を回して、新人若手に自信付けてもらい定着化を計る>
次回(第4回)は、2つ目の取り組み事例として、若手のやる気を引き出すために改善提案活動を奨励したり、実践的なOJT改善活動を通じて若手を育てる方法についてご紹介します。