グリッドは2月8日、AIを活用し最適航路を提案するツール「ルートファインダー」を開発し、記者発表を行った。同社は海運での配船計画最適化ソリューション「ReNom VESSEL」を提供しており、その新たな機能として提供する。
「ルートファインダー」は、任意の緯度経度の船舶の位置から港までの最適な航路を提案する機能。自社・他社船の到着時間が画面で表示される。
また、波高や波速など気象予報を考慮した気象ルーティン機能を使用することで、港までの精緻な到着時刻と燃料コストを算出し、可視化することができる。
AI事業本部の宮本年男氏は「到着時間と燃料コストを算出することで、適切な意思決定を行うことができる。外航船・内航船の配船計画ソリューションの一環として開発したが、今後、切り離して1つのサービスとしての提供も考えている」と話す。
メリットは、例えば自社船と他社船が港で競合する可能性がある場合、オペレーターは船長に運航速度を上げるように指示し、不要な待ち時間を削減することができる。港での競合を避け、バースが空く頃に入港する場合は、運航速度を下げることで燃料費を削減することも可能だ。
到着時間を事前に把握できれば、不要な待ち時間の回避や効率的な荷下ろしを実現し、船舶の稼働率向上にもつながる。
グリッドの試算では、大型の外航船の場合、運航速度を適切にコントロールすることで、1隻あたり年間約1100万円の燃料費削減効果があり、CO2排出量も年間約395トンの削減が見込めるという。
今後、「ルートファインダー」については、まずは個別の顧客に機能提供する形で実装を進め、2025年夏頃の提供を目指す。同社は、「さらなる機能拡充も含めた精度向上に努め、海運DXに貢献していきたい」としている。
商船三井/ダイナミック ポジショニングシミュレータを使用した訓練