グリッドは11月18日、鉄道分野向け最適化ソリューション「ReNom Railway」において、新たな機能拡張にむけた開発を開始したと発表した。
アップデートでは、計画立案プロセスの前段階となるデータ準備を自動化・統合する仕組みを導入し、入力データ処理から最適化までの一連のプロセスをAIが支援できるようになる。さらに、乗務員運用計画の最適化を新たなカテゴリとして追加し、鉄道輸送全体の高度な最適化を実現する。
鉄道の輸送計画業務は、列車運用、車両運用、乗務員運用、構内作業など多岐にわたる要素を扱い、膨大な制約条件を満たす必要がある高度な業務。 その多くが熟練担当者の経験に依存し、データ準備や計画立案に多くの工数を要してきた。
グリッドでは、AIとデジタルツイン技術を活用した社会インフラのDXを推進しており、「ReNom Railway」を通じて鉄道における輸送計画業務の効率化と最適化を実現してきた。今回のアップデートでは、前段階のデータ準備をAIが自動化・統合することで、より包括的な鉄道輸送計画最適化ソリューションへと進化を目指す。
アップデート機能のうち、AI-OCRによる入力データの自動化・効率化では、ダイヤ情報や作業指示書、運行記録など、計画立案に必要な多様なデータをAIが自動で読み取り・構造化。これまで人手で行われていた入力データの準備作業を効率化し、計画立案までのプロセスを大幅に短縮する。
予測機能の新搭載では、列車遅延や設備トラブルといった不確実なシナリオをAIが自動生成し、最適化計画にインプットすることで、現実的かつ柔軟な運行計画立案を支援する。
また、乗務員運用計画の最適化を新たに追加する。既存の「車両運用計画」「構内作業計画」に加え、新たに「乗務員運用計画」の最適化機能を搭載。AIが乗務の負荷を平準化しながら、労働基準を満たしつつ乗務パターン数を最小化する、最適な行路パターンおよび交番計画を自動で作成する。乗務員運用計画作成の自動化によって計画作成に要する作業時間を削減し、最適化により労働環境の改善にも貢献する。
アップデート機能の開発完了は2026年10月頃を目標としている。グリッドは、鉄道事業者との協業を通じて「ReNom Railway」の実用化と展開を進めるとともに、今後も現場業務のさらなる効率化と最適化を支援する機能拡張を検討し、鉄道運行全体を支えるAIソリューションへの発展を目指していく。
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