2023年11月23日、「グッドマン常総」のグランドオープンが近隣住民を招いて開催された。多彩なイベントに約600人もの人々が集まり、同年7月のオープンから3か月、見事に周辺環境に溶け込んでいる。リーシングも順調に進み、残すところあと1フロア(2024年1月現在)のみ。グッドマンは入居企業とそこで働く人々、さらには周辺コミュニティに対して、多くの魅力に溢れたスペースを創ることができるデベロッパーと評価されている。同社が千葉県印西市に開発する「グッドマンビジネスパーク」は、まさにそのビジョンを体現した旗艦プロジェクトとして広く知られている。そしてこのほど、グッドマンの最新物流施設が茨城県常総市に誕生した。同社の誇る最高のクオリティとスケールを持つ「グッドマン常総」は、何を基準に選ばれたのか、入居企業3社(アダストリア・センコー・マッシュグループ)から寄せられたコメントをもとに、改めて選ばれる物流施設「グッドマン常総」の魅力を紐解いてみたい。
倉庫に求められる要素の変化
総賃貸面積約17万4000m2の巨大な「グッドマン常総」が竣工したのは2023年7月。すでに、ニコアンド・グローバルワーク・ローリーズファーム等数多くのファッションブランドで有名なアダストリア(約5万2000m2)、大手物流事業者で全国ネットの貨物自動車運送事業を核に倉庫・鉄道利用運送・工場内物流など、幅広く展開するセンコー(約3万5000m2)、アパレル大手でありビューティ・フード・デザイン・ライセンスと多角的な展開を図っているマッシュグループ(約3万5000m2)等多くの企業が入居を決定している。
企業が倉庫を選ぶ場合、基準とする要素や重要視する点も異なる。一般的には、立地、賃貸金額、スペース、雇用・通勤のしやすさ等が基準になるが、最近ではサステナビリティ(広く環境、社会、経済で持続可能な世の中にしていこうという方針)、そしてそれを補完するSDGsいわゆる「持続可能な開発目標」の重要性も高まっている。さらに、「物流の2024年問題」や人手不足などを背景に、従業員の働きやすさやトラックドライバーへの配慮なども求められる。
■アダストリア
各社のコメントには、「グッドマン常総」に入居を決めた理由がよく表れている。アダストリアは、「施設環境の良さから、従業員の採用にも期待以上の効果があった」とコメントしていることから伺えるように、人手不足の今日、従業員が快適に働けるグッドマン常総のアメニティの充実が、実を結んだ結果と言えよう。さらに、入居から半年で、追加増床の判断を行うほど、グッドマン常総に可能性を感じたということだ。それにしてもアダストリアの意思決定のスピードの速さに驚く。
アダストリアは、グッドマン常総にグループ最大級の「アダストリア常総DC」を開設した選定理由として「中長期の物流ネットワーク計画を実現するために最適な物流立地」を挙げている。立地は、企業にとっては最も重要な部分だろう。同社は国内店舗1340店舗、海外店舗95店舗、国内物流拠点6拠点、海外生産拠点6拠点を展開しており、最も大きいバリューエリアとなる首都圏の顧客増への対応として、圏央道の常総IC直下にある同施設を選んだ。
この好立地を補完するのが、物流施設本体の能力だ。同社では「ロボット運用や機械化・自動化の導入が容易で効率的なオペレーションが実現可能」という、スペースの広さも大切な要素として挙げている。1フロアで1万坪(3万5000m2)の物流適地かつ物流施設は簡単には見つからない。グッドマン常総では1.5フロア、実に約5万2000m2のフロアを擁し、稼働開始している。
さらに後押ししたのが、昨今の企業経営で重要な要素として求められるサステナビリティやSDGs。「『グッドコミュニティ共創カンパニー』として、地域とのつながり、従業員が安心・快適に働ける環境を重要視」し、「働く人にやさしいアメニティやサステナビリティへの取り組みは、アダストリアの目指すものと一致」というコメントからも、物流施設に求められる時代の要請が伺える。
■センコー
センコーは、「関東圏東部エリアへの拡大に向けた第1弾」として入居を決定した。総合物流事業を展開する同社は、「グッドマン常総はアパレルメーカーの全国の店舗に向けた商品流通拠点」と位置付けており、アダストリアと同様、「ワンフロアが広く、顧客のさまざまな物流ニーズに対応できる効率の良い作業が可能」という規模感が決め手の1つとなった。さらに、「常陸那珂港へ1時間でアクセス可能なことから、内航・外航貨物の一時保管需要の取り込みなどで、関東東部エリアでのさらなる事業拡大を図る」と、広域物流拠点としても魅力を感じているようだ。
同社は、既に印西の「グッドマンビジネスパーク」を利用しており、従業員の働きやすさを求めた様々な設備や、従業員満足度についても高く評価している。「共用のラウンジスペースやミーティングルーム、屋外テラスなどがあり、ハイクオリティな就業環境を提供」していることも評価ポイントとなった。センコーの賃貸面積は約3万5000m2、現在稼働に向けて準備中だ。
さらに、「周辺には道の駅やカフェ、ブックストア、公園といった働き手にとって魅力的な環境が整備されている」といった、物流施設としてのこれまでにない高付加価値も選定理由となった。今後、道路向かいに天然温泉の温浴施設が整備される計画で、倉庫内従業員だけでなく、トラックドライバーにも喜ばれる魅力が一つ増えることになる。
■マッシュグループ
マッシュグループのコーポレートスローガンは「ウェルネスデザイン」。世界中に笑顔を届けることを意味するこのスローガンのもと、同社はカーボンニュートラルの実現に向けた取組を継続している。
マッシュグループも約3万5000m2の賃貸契約を決め、将来的な事業領域拡大およびそれに伴う物流体制強化のため、環境認証を取得している「グッドマン常総」に「MASH GROUP 常総DC」を開設した。「グッドマン常総」の先進的なサステナビリティの取り組みや、そこで働くパートナーの働きやすさに対する追求姿勢が、マッシュグループのフィロソフィーと深く共鳴することを、入居理由に挙げている。
分散していた拠点の統合ならびに物流ネットワークの効率化が実現し、CO2の排出削減につながることは、環境負荷軽減に大きく寄与するものと同社は捉えている。また、今回の新設に伴い、在庫の一元管理による顧客の利便性向上や従業員や取引先、パートナーの働きやすさなど、ビジネスにおける多方面でのソリューションとなることも目指している。
改めて「グッドマン常総」の魅力とは
「グッドマン常総」の建物スペック面の特長も物流施設としての優位性に寄与している。まず、敷地内カスタマー用に700台の駐車スペースを確保していることが大きなポイントだ。そして常総エリアは地域住民の足となる自家用車通勤が多くなることから、これだけのスペースを確保したもの。雇用確保の面からも有利な環境となる。これは、1フロア当たり140台を駐車できる計算になる。トラック出入口と通勤用乗用車出入口を分離していることで運用に支障なく、安全な通勤動線を確保している点も魅力である。
グッドマンジャパンの芦田健二チーフコンストラクションマネジャーは、「片面バース1フロア/1万坪の倉庫は関東圏では数少ない物件。2024年問題を契機に物流のDX化が進展すれば、今後人手不足で平屋扱いでロボットを運用することが考えられる。そのことを踏まえ片面バースにし、成形で大空間の倉庫を確保した。平屋倉庫として利用できれば縦持ち搬送機器なども不要で多層階扱いより、ロボット化によるレイアウトがし易い、作業人手を抑えることができるメリットがある」。
さらに、人手確保の面からも従業員の働きやすい環境づくりにも注力している。異常気象が続く日本では、このところ酷暑・酷寒と呼ばれる現象が続いている。「グッドマン常総」では、全天候型のピロティ車路が各階にある。倉庫内天井部に誘引ファン・シーリングファンを設置し、倉庫内の空気が循環され、よどみのない倉庫空間を確保。働く人の職場空間の向上に寄与する。さらに、倉庫内空調の設置も容易に可能なことも大きな特長だ。ドレン配管を実装し、各階室外機置場のバルコニーも設置し、室外機の鉄骨基礎まで準備されている。
倉庫内従業員のための魅力的な施設・環境に加え、トラックドライバーにも配慮した設計となっていることも特長だ。広い敷地面積だけに、敷地内施設は余裕をもって構成・設置。ランプ・車路も45フィートコンテナトレーラーといった大型サイズも各階乗り入れ可能だ。
ランプ・車路には車番認証システムを導入し、各階のトラックの進入を管理できる。オプションでカスタマー事務所でのモニタリングも可能。バース予約システムの導入も連動可能なカメラとなっている。これにより2024年問題でも課題となっている施設内でのトラック待機時間減少に繋がる。あと積み降ろし時には、バースの縦にも横にも接車可能な柱スパンを飛ばしていることで、バース間も運用が見渡せ、通行することもできるレイアウトとしている。
さらに、敷地内にトラック待機スペースを入口・出口に確保。車内で待機することなく、リフレッシュできるシャワー室を完備したドライバー休憩室を用意した。今後、「グッドマン常総」の道路向かいには、温浴施設も建設中である。天然温泉の露天風呂でサウナスパリゾートの機能も併せ持つ施設となり、2024年度中にオープンする予定だ。
<「グッドマン常総」のグランドオープンにはキッチンカーも出動>
周辺環境もアップデート、2棟目開発へ
11月23日に開催した「グッドマン常総」のグランドオープンだが、道の駅が近接しているとはいえ、600名もの地域住民が参加したことは、驚きだ。会場では歌手やコメディアンなどによるステージが行われ、多彩なパフォーマンスで会場を盛り上げた。キッチンカーも出動し、オーストラリアの料理やコーヒーなどが用意された。子供から大人まで楽しめる景品付きのアトラクションまで用意されていた。
「グッドマン常総」の周辺環境は、今後さらにアップデートされていく。同施設はアグリサイエンスバレー常総に位置し、道の駅常総、TSUTAYABOOKSTORE常総インターチェンジに隣接している。道の駅、TSUTAYA常総共にオープン後半年で来場者数100万人を突破し、当初の年間目標100万人を半期で達成した。常総市及び近隣地域の地産食材を豊富に使用したレストランや、カフェ、子供の遊び場等を充実させ、子供・ファミリー層からシニア層まで、幅広い世代が楽しく滞在できる施設が展開されている。
さらには、この場所はAIまちづくりの一環として、常総市とHONDAの、知能化マイクロモビリティ技術実証実験の場としても利用される。この技術実証実験は、アグリサイエンスバレー常総において2種類の知能化マイクロモビリティの自動走行技術による人とモノの安全で自由な移動の研究に取り組むもの。CiKoMa(サイコマ)は、安全運転監視員が同乗する自動走行からスタートし、段階を踏んで無人自動走行の実現を目指す。WaPOCHI(ワポチ)は、アグリサイエンスバレー常総の施設において、歩行サポートにフォーカスした研究を行う。
常総市は「HONDAとの取り組みからもわかるとおり、『AIまちづくり』や『ゼロ・カーボンシティの実現』を目指すなど、時代の変化を先取りする自治体が常総市だ。だからこそ今後の社会と経済を支える基幹インフラとして、人と環境に配慮した先進的な物流施設である「グッドマン常総1&2」の存在価値は大きく、常総市のさらなる発展に大きく寄与してくれるものと歓迎している」とコメントしている。
これまで物流施設というと人の少ない不便な場所か、工業地帯の一角といった場所に立地することが多かった。「グッドマン常総」は、物流施設=3Kの職場というかつてのイメージを払拭するどころか、物流施設としての高機能に加え、サスティナビリティやSDGsにも立脚している。アグリサイエンスバレーに位置しており、道の駅も隣接し、今後、周辺環境とともにさらに発展する物流施設となる可能性を秘めている。ファッションやデザインといった業種の企業が集まってくるのも、「真」の魅力が「グッドマン常総」に備わっている証だろう。
ちなみにグッドマンのふるさとであるオーストラリアでも広大な敷地の中で緑あふれた物流施設を展開し、それが同社の理念ともなり、ここ日本の常総の地でも花開いている。2025年には、すぐ隣に「グッドマン常総2」も竣工する予定だ。
■物件概要
名称:グッドマン常総
住所:茨城県常総市むすびまち10
敷地面積:8万8150m2
総賃貸面積:17万3556m2
建物形体:柱RC造 梁S造 5階建て 高床式
床荷重:1階2.0トン/m2 2~5階1.5トン/m2
建物寸法:建物幅273m、奥行144.8m
天井高:梁下有効5.5m(一部を除く)
駐車場:普通乗用車700台 電気自動車10台