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C&W/2023年下期、東京圏を除いた物流施設の空室率は低位安定

2024年04月05日/調査・統計

クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(C&W)は、日本の物流市況について最新のレポートを発表した。

それによると、燃料コストなどが上昇する中でも トラック輸送価格は恒常的に伸び悩みが継続してきた。今後は、物流総合効率化法の定めのもと(1)輸送業の集約(2)輸配送の共同化(3)長距離運送のモーダルシフトが要請されていくため、無駄な配送を徹底的に削減したスマート物流とコスト効率に優れた地方拠点戦略の見直しが政策的に後押しされるとしている。

<全国:都市圏別、大型マルチテナント物流施設(LMT)ストックの比較>
20240405cw1 - C&W/2023年下期、東京圏を除いた物流施設の空室率は低位安定

また、東京圏を除いた物流施設の空室率は低位安定としている。東京圏においては、供給過多な圏央道茨城や東北道において、局所的に15%までの空室率の上昇を見込む。しかし供給の減少する大阪圏、名古屋圏、地方都市においては、先進的物流施設ストックは未だ不十分であり、新規供給に合わせて潜在需要が喚起されていく状況が継続する見通しとしている。

都心部における都市型物流施設、付加価値を提供できるデベロッパー保有物件の価格支配力は高止まりしているものの、その他エリアの既存物件については物流コスト増で苦戦するテナントに対して、今後2年間の期待インフレ率(<2%)を上回る価格転嫁が難しい状況を見込んでいる。

年間の輸送送量の動きを総括すると、価格高騰の続く建設関連資材(前年比1.6%減)や回復の鈍い消費関連貨物(前年比1.3%減)などを背景に、昨年度に引き続き国内貨物輸送量は前年比1.3%減の3年連続の減少となった。

同様に国際貨物においても、数量ベースでは輸出入ともに前年比4%程度の微減で推移、金額ベースでは、年央の原油価格の高騰などから年間9.3兆円と3年連続の貿易赤字の拡大となった。うち、国別では、中国向けの貿易赤字が過去最高の年間6.7兆円、米国向けの貿易黒字が年間8.7兆円に拡大、グローバルな供給網を再構築する動きも随所に確認できる。

次に、年間の価格動向をみると、国内企業向け物価は+2.4%にピークアウト、コアCPIは+2.8%へ上昇、と緩やかながらも全体的な価格転嫁の拡大が進む。しかし、零細業者の多い物流業者の輸送価格転嫁は総じて不十分なまま。2000年以降の輸送価格指数をみると、宅配便が平均年率+1.6%を維持する一方、輸送量の大半を占めるトラック輸送価格は同+0.6%にとどまり、インフレ率を下回る実質値下げの状況が継続している。全産業の企業業績においては概ね1割程度の経常利益増益が見込まれているものの、物流業者の賃料負担能力の改善は未だ見込まれていない。

2023年下期も都市型倉庫や大型施設を中心に竣工が継続、東京圏では年間340万m2、大阪圏では年間170万m2、名古屋圏では年間80万m2を超える供給となった。2024年の新規供給においても東京圏は高止まり、大阪圏(前年比約3割減)や名古屋圏(前年比約7割減)とは異なる様相をみせている。そして、新規供給が集中してきた東京圏における人口一人当たりのLMTストックは約0.9m2と大阪圏の約0.5m2、名古屋圏の約0.3m2、その他地方都市の約0.1m2を大きく上回ることにも留意したいとしている。

主な竣工物件としては、名古屋湾岸でラサール不動産投資顧問/東急不動産/NIPPOがロジポート名古屋(GFA:35万4000m2)を竣工。東京湾岸では、三菱地所傘下の東京流通センターが東京流通センター新A棟(GFA:20万5000m2)を竣工。圏央道茨城でグッドマンジャパンがグッドマン常総1(GFA:17万5000m2)と大型供給が相次いだ。

ほか、福岡圏を中心とした地方都市では、メープルツリーインベストメンツジャパンによるメープルツリー筑紫野ロジスティクスセンターPhase 1(GFA:11万1000m2)など大型供給が散見された。

主な開発物件としては、事業会社からのセールスリースバックなどを前提とした賃料上昇と維持管理費の削減を織り込んだ再開発物件が目立った。千葉湾岸の習志野ではGLP投資法人が既存物流施設を再開発(GFA:12万8000m2)。新名神道路を通じて大阪圏及び名古屋圏に運転時間3時間以内でアクセスできる滋賀では、ユニファイド・インダストリアルがUI 湖南ロジスティックセンター3期計画(GFA:20万5000m2)を着工した。

日本の物流市況について最新のレポート(C&W)

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