東京商工会議所 流通・サービス委員会は10月31日、流通・サービス企業等の事業戦略の強化に向けて、価格戦略などの実態や、2024年4月から適用されたトラックドライバーに対する年間の時間外労働時間の上限規制(物流2024年問題)、およびトラックドライバーの不足等による東京都内の荷主事業者や運送事業者への影響と対応状況等を調査し、結果(暫定版)を取りまとめ、その暫定版を公表した。
このうち、「物流2024年問題について、影響」で、物流関連2法の改正に対する認識として、想定される影響についての質問に対し、肯定的な意見では、「荷主事業者の物流への取り組みが加速した」(道路貨物運送業)、「物流にかかるスケジュール管理が強化できた」(専門サービス業)、「会社の垣根を超えた連携、共同配送の増加につながった」(運輸附帯サービス業)となっている一方、否定的な声では、「運用コストが増加し下請け会社にコスト負担が強要されている」(道路貨物運送業)、「特定事業者になることにより業務負荷が増加しすることが懸念される」(飲食料品卸売業)といった声が挙がった。
そしてその影響について、荷主企業にとっては、輸配送コストが上昇している(67.8%)、輸配送日数が伸びている(38.1%)、影響は特に受けていない(25.5%)といった結果となった。
荷主企業からは、「配車時間/集荷時間が変更された(遅くなっている、一定ではない)」(商品卸売業)、「取引先が廃業し、新たな運送事業者を探さなければならなくなった」(その他小売業)、「配送ミスが多くなり、運送の質が低下している」(生活関連サービス業)との声が挙がった。
物流事業者では、ドライバーの採用難(56.5%)、人件費増加に伴うコスト増(38.9%)、売上の減少(運賃の値上げを理由とした顧客離れ等)(38.9%)となった。
物流事業者からは、「ドライバーの賃金が上昇し経営を圧迫している」、「運送コストの増加を理由に顧客離れが生じ売上が減少した」、「配送時のトラブルによる顧客からのクレームが発生。ドライバーを追加で雇ったことで、配送品質が低下した」、「ハローワークで応募しても良い人材がいない」といった声があった。
物流2024年問題に向けた取り組み状況(荷主)では、必要性を感じていて、取り組みをしている(予定)(23.0%)は2割程度の少数派。必要性を感じているが、取り組みをしていない、取り組めない(36.9%)が最も多く、どちらともいえない(20.7%)、必要性を感じていない(取り組みもしていない)(19.3%)と続いた。
物流2024年問題に向けた取り組み状況(物流事業者)では、必要性を感じていて、取り組みをしている(予定)(46.5%)が最も多く、過半数近くとなっている。次いで、必要性を感じているが、取り組みをしていない、取り組めない(27.3%)、どちらともいえない(17.2%)、必要性を感じていない(取り組みもしていない)(9.1%)となった。
政府に対する期待では、荷主企業も物流事業者も物流に係る制度の見直しによる効率化の推進、円滑な輸配送に向けたインフラ整備の促進を上位に挙げているものの、荷主企業では物流DXの推進を、物流事業者では商慣習の是正に向けたパートナーシップ構築宣言等の推進と実効性向上を上位に挙げていた。
■「流通・サービス業における価格戦略および物流2024年問題に関するアンケート」
調査結果(暫定版)
https://www.tokyo-cci.or.jp/file.jsp?id=1204587
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