日本郵便は4月16日、子会社であるJWTを介したトナミホールディングス(トナミHD)の株式公開買付けが成立したことを発表した。
日本郵便は2025年2月26日、トナミHDの創業家代表、経営陣との共同出資により、共同コンソーシアムとしてJWTの設立を発表。トナミHDのマネジメント・バイアウト(MBO)を企図し、JWTを介して公開買い付けを実施していた。
公開買い付けでJWTがトナミHDの株を総額926億円で100%取得し子会社化した後、トナミHDは非上場化する。その後、JWTは社名を「JPトナミグループ」に変更する予定だ。買い付け価格は1株につき1万200円、株式に換算した買付株は791万6930株となっている。
<都内で開かれた会見の様子。左からトナミHD 佐藤公昭 取締役、同社 髙田一哉 取締役、同社 綿貫雄介 創業家代表、同社 髙田和夫 社長、日本郵便 千田哲也 社長、同社 美並義人 副社長、同社 小池信也 常務>
4月16日夕方に都内で開かれた会見では、日本郵便、トナミHDの両社長、トナミHDの創業者代表が登壇。日本郵便の美並義人 副社長がJWTの代表者となる旨を発表したほか、MBOに至るまでの経緯や、買収完了後に想定しているシナジー効果等について語った。
MBO成立の経緯としては、トナミHDが金融機関に相談したところで、日本郵便を紹介されたことがきっかけとなり、2024年6月に面談を行い、話を進めてきたという。
トナミHDの子会社化について、日本郵便の千田哲也 社長は「物流事業を持続的に行うには、経営基盤の強化による経営効率の改善が必須。トナミHDを取り込むことは、より強靭な物流インフラの確立、日本全国ネットワークの構築へとつながる。物流への多様なニーズに対し、グループ一体サービスの提供が可能になる点は大きく、価格交渉力の強化も目的としている」とした。
一方でトナミHDの髙田和夫 社長は「兼ねてよりトナミは相対的に上場するメリットが減少し、非上場化するためのパートナーを探していた。文化の継承、中長期的な更なる価値向上の点からも、日本郵便はベストパートナー足りうると判断した。公共性の高い日本郵便とトナミが手をとることは、社会的意義が大きいもの。トナミが掲げる和の経営理念にもつながる」と述べた。
<トナミHD 髙田和夫 社長(左)と日本郵便 千田哲也 社長(右)>
シナジーを想定している協働部分としては、トナミHDの特積みと日本郵便のラストワンマイルを相互に取り込むことで、新たなサービスを顧客へ提案していける点などが挙げられた。
また、日本郵便の子会社として西日本を中心に幹線輸送を行っているJPロジスティクスとの協業については、それぞれ異なる得意分野を軸に、新たなシナジーを出していくことを強調した。なお、2社の統合については現時点では考えていないという。
なお、共同コンソーシアムであるJWTの社名については、2025年7月初旬に「JPトナミグループ」への改称が予定されており、トナミHDの吸収合併は2026年6月を目途に行うという。合併統合後の代表については、現時点では確定していないものの、日本郵便から役員の選定を行う予定であるとしている。
日本郵便/大阪・関西万博に郵便局開設、未来から届く手紙体験も