帝国データバンク(TDB)は11月17日、2025年10月時点で企業の51.6%が正社員不足、28.3%が非正社員不足となったと発表した。
人手不足は、深刻な「高止まり」状態が続いている。2025年10月時点における、正社員の人手不足を感じている企業は51.6%となり、10月としては4年連続で半数を超えている状態だ。
前年同月の51.7%からは0.1ポイント低下と変動幅は小幅にとどまったものの、引き続き高水準で推移している。
また、非正社員における人手不足割合は28.3%で、前年同月から1.2ポイント低下しており、10月としては2年連続で3割を下回った。
業種別では、正社員の人手不足を感じている企業は、建設業で70.2%(前年同月比0.6ポイント増)と最も高かった。企業からは「人手不足の影響により案件があっても受注できない。人件費や資材費等の値上がり分を受注価格に反映できていない」(土木工事、奈良県))や、「案件は多いが発注者予算と工事費が合わない。今後、資材高騰や人件費高騰、職人不足が進むと受注を控えなくてはならず、売り上げ減少になる可能性がある」(木造建築工事、長野県)といった声があがった。
ドライバー不足が深刻な「運輸・倉庫」は相変わらず人手不足割合が高いままで67.1%、前年比1.3ポイント増となっており、2位の「情報サービス」に迫る数値になっている。全体としては、51業種中8業種が6割を上回る結果となった。
こうしたなか、「人手不足倒産」は2025年度上半期(4~9月)に214件発生し、上半期としては3年連続で過去最多を更新。また、通年でみても、2025年1~10月の累計ですでに359件に達しており、2024年の342件を上回り、3年連続で過去最多となっている。
「若い人材は大手企業への就職が多く、求人を出しても応募者がいない」(舗装工事、岩手県)といった若手人材の不足を嘆く声があるほか、「案件は首都圏からを中心に多く出てきているが、スキルマッチした要員が不足しており、受注に至っていない。優秀な人材を確保できないためである」(ソフト受託開発、新潟県)などハイスキル人材の取り合いになっている様子がうかがえる。
若手人材が首都圏に流出するなか、地方を中心にスキルのある正社員を採用するのは難しく、今後も正社員の人手不足割合は高止まりすると予想される。
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