帝国データバンク(TDB)は5月7日、2025年4月調査のTDB景気動向調査(全国)を発表した。
それによると、2025年4月の景気DIは前月比0.8ポイント減の42.7となり、2か月ぶりに悪化。コロナ禍の終盤にあたる2023年2月以来の水準まで低下した。国内景気は「トランプ関税」により個人消費が伸び悩み、景況感が急速に冷え込んでいる。業界別では10業界中9業界が悪化し、地域・規模の面でも全体そろって悪化の傾向がみられた。
業界別の「運輸・倉庫」では、前月比1.4ポイント減で2か月ぶりに悪化。特に小規模企業では、船用品費の高騰など物価高や荷動きの低迷がマイナス要因となっていた。
現状についての声では、「人件費、燃料などの諸経費の上昇が大きく利益が減少している」(特別積合せ貨物運送)、「主要荷主の取扱状況は相当悪い。自動車部品関連は関税の動きで先は読めない」(普通倉庫)、「人手不足と仕入れ高による影響を受けた」(一般貨物自動車運送)というコメントがあり、運輸・倉庫問わずマイナスの声が見られた。
先行きについての企業の声では、「良くなることを期待するが、為替や株価が安定するまでは時間を要すると考える」(運輸に付帯するサービス)のようなコメントがあったほか、「価格転嫁が思うようにできないほか、トランプ関税も多少なりとも影響が出始めている」(港湾運送)、「円安、燃料・物価高のほかトランプ関税の影響も出てくる」(一般貨物自動車運送)といった「トランプ関税」による今後の影響を懸念する意見があった。
今後の国内景気は、トランプショックの影響を見極めながら、実質賃金の増加と個人消費の回復がカギとなる。米中など海外経済の減速や世界貿易量の縮小は輸出産業の下押し要因となり、為替動向、家計の節約志向も懸念材料だ。他方、インバウンドの継続、減税や物価高対策、大阪・関西万博、IT関連の設備投資が下支え要因となる。また、大型連休の旅行需要も注目される。
世界経済の不確実性が高まるなか、国内景気は当面、弱含みで推移すると見込まれる。
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