日本郵船が東北電力向けに建造を進めていたLNG(液化天然ガス)を主燃料とする石炭輸送船が10月23日に竣工し、オーストラリアに向けて運航を開始した。
出航にあたり、長崎県の大島造船所の香焼(こうやぎ)工場で命名引渡式を行い、本船を「SAKURA CRESCENT(サクラクレセント)」と命名した。
<命名式の様子 前列左から6人目が東北電力 石山一弘 社長、8人目が日本郵船 曽我貴也 社長>

本船は東北電力の専用船として船舶の燃料にLNGを初めて使用しており、従来の船舶燃料油(重油)に比べて硫黄酸化物は約100%、窒素酸化物は約80%、二酸化炭素は約30%の排出削減を見込んでいる。
船名の由来となった「三日月(CRESCENT)」は、仙台藩の初代藩主である伊達政宗公が兜に用いたシンボルとして、仙台市にゆかりのあるモチーフ。これに東北電力の石炭火力発電所が所在している南相馬市と、能代市の花である「桜」を組み合わせ、「SAKURA CRESCENT)」とした。
またCRESCENTの語源はラテン語の「crescere(クレスケレ:だんだん増える、成長する)」に由来していることから、東北電力向けの石炭輸送を担う船舶として「これから満ちていく三日月のように、次世代に向け活躍してほしい」という願いを込めた。
■本船概要
船名:SAKURA CRESCENT(サクラクレセント)
全長:235.0m
全幅:38.0m
船型:パナマックス型
載貨重量トン数:9万5569トン
建造年:2025年
建造造船所:大島造船所
船籍港:南相馬市(福島県)
飯野海運/INEOS社向け大型液化エタン船(VLEC)1番船竣工
