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次世代物流システム構築事業/食品ロス2~3割減、CO2は48%削減

2016年08月25日/調査・統計

日本気象協会は8月25日、2016年度次世代物流システム構築事業「食品ロス削減・省エネ物流プロジェクト」の説明会を行った。

<現状>
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<食品ロス削減・省エネ物流プロジェクト>
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プロジェクトは、2014~2016年度の3年間で実証事業を行っており、今年は最終年度になる。

1年目では、情報の見える化から始め、対象商品をつゆと豆腐に絞り、解析ベースで実証実験を行い、つゆの食品ロスを40%削減、豆腐は30%削減できた。

2年目には、情報の個社利用として実際にオペレーションでの効果を実証実験し、つゆの食品ロス20%弱、豆腐は30%削減し、その効果を証明した。

情報の連携利用として、ネスレ日本と川崎近海汽船による飲料(ペットボトルコーヒー)のモーダルシフトによる実証実験を行い、二酸化炭素排出量48%の削減を実現。この取り組みは物流環境大賞を受賞した。

飲料の特徴は需要変動が大きく、在庫/物流最適化が重要で、生産リードタイムは数週間から数か月となる。これまでは気象庁の1週間の予測データを活用していたが、リードタイムが十分でないため、トラックで輸送していた。

今回は、新たにECMWF(ヨーロッパ中期予報センター)のデータも活用し、2週間の気象予測を作成。意思決定を早めることで、モーダルシフトを実現した。

3年目は、引き続きつゆと豆腐を情報の連携利用として実証実験を行う。

つゆでは製販との販促連携や終売オペレーションを、豆腐ではCPFRを行い、連携の効果測定と検証を行う。

CPFRは、製配販の各プレイヤーが協同で販売予測、納入予測を行い、各社責任を持った生産・在庫・補充計画を策定する仕組み。

また、飲料では情報の個社利用として実証実験を行う。毎週金曜日に季節全体の売上を予測。数か月の情報は生産計画に、数週間の情報は生産調達に利用する。

需給・最適在庫に利用することで、その効果の測定・検証を行う。

日本気象協会は、実証実験の中で、さまざな課題に向き合った。実際の気温の高さと人が感じる体感気温では違いがあり、気温による消費者心理の転換や実効気温(どのような経緯をたどってこの気温になったのか等)を取り入れることで、高精度な予測を実現した。

そのために、気象データとともに、SNSデータ(位置情報付きのTweet情報)、POSデータを組み合わせ、気象予測技術とAI技術を組み込み需要予測の精度向上と新たな価値の創出を図っている。

<説明した日本気象協会事業本部防災ソリューション事業部の中野俊夫プロジェクトリーダー、吉開朋弘データアナリスト、本間基寛プロジェクトマネージャー>
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日本気象協会では、このプロジェクトの目的を「気象情報を経済へ」「社会問題の解決」「新たな価値の創出」の3点を挙げている。

このうち、解析ベースでの気象利用可能性を証明し、実際に気象を利用したオペレーションを実施し、経済への活用を証明した。

また、CO2削減や食品ロスなどの社会問題の解決に貢献。新たな価値の創出では、製・配・販で需要予測を共有してSCM全体を最適化するという目標に対して、約30社が参加するコンソーシアムの構築と運営を行っている。今後5~6社程度参加企業が増える予定だ。

なお、参加企業は製造でMizkan、相模屋食料、キッコーマン食品、サントリービジネスエキスパート、ネスレ日本、ポッカサッポロフード&ビバレッジ、伊藤園、卸・流通で国分グループ本社、川崎近海汽船、小売はローソン、国分グローサーズチェーン、バローホールディングス、マルエイ、ココカラファインヘルスケア、カメガヤ、そのほか、システム企業や団体、研究者も参加している。

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