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ヤマトHD/引越の水増し請求が2年間で17億円、山内社長「信頼を大きく失墜」

2018年07月24日/3PL・物流企業

ヤマトホールディングス(YHD)とヤマトコンビニエンス(YHC)は7月24日、YHCが法人の顧客に提供している引越サービスに不適切な請求があった事態を重く受け止め、過去2年間に引越サービスを提供した全法人3367社の請求金額に関する調査結果を公表した。

<ヤマトHDの山内雅喜社長>
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<不適切な請求についておわびするYHDの山内社長(左)とYHCの和田社長>
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調査結果によると、不適切な請求は2640社に対し計約4万8000件、総額は約17億円であることが判明した。

法人売り上げが170億円あり、およそ1割程度が水増しされた請求金額ということになる。1件当たりの最大の価格差は19万円で、正規の金額の1.9倍もの案件もあった。

データ調査を2年間に限ったのは、突き合わせするデータ(見積書と請求書の控え)が2年間分しか残っていなかったため。

YHDの山内社長は「ヤマトのクロネコブランドの信頼を大きく失墜させるもの。重く受け止めている。全社を挙げて2度とこのようなことが起こらないようにし、信頼回復に全力で取り組んでいく」と述べ、今回の事態を徹底究明するための対応策の概要を説明した。

YHCは不適切な請求があった全ての法人の顧客への一報と謝罪を7月23日までに完了した。今後、不適切な請求分を速やかに返金するなど、引き続き誠意をもって対応する。

6月28日からは当面の再発防止にあたっており、現在は顧客へ適切な請求を行っている。7月17日には、YHC社長直轄の「事業構造改革推進室」を設置し、抜本的な再発防止策の策定に着手した。

YHDは外部の独立した専門家で構成する調査委員会を、7月23日にYHD社内に設置し、8月中に、この委員会から本件に関する詳細な調査結果と原因の究明、および抜本的な再発防止策の有効性評価に関する報告を受ける予定。

なお、この調査委員会が有効と認めた再発防止策が機能を開始するまでの期間、YHCは法人の顧客と契約する引越サービスの新規契約、新規受注を中止する。

外部の独立した専門家で構成する調査委員会は弁護士の河合健司氏を委員長に3名の委員があたり、事実関係の調査と原因の究明、ならびにYHC「事業構造改革推進室」が策定する抜本的再発防止策の有効性判断に取り組み、8月中にYHDに対して報告する予定だ。

ただ、2011年の段階で早くから問題が指摘されていたことに関して山内社長は「実際にYHDにそのような指摘があったのは事実だ。その時はYHCに改善を指示し、対応させた。当時はこれが全国的な問題だという認識には至らなかった。それが改まらずに、今日まで全国で続いていたということは、今後どうしても解明すべき問題だと考えている。一つの要因としては、チェック体制ができておらず、改善策が不足していたものと考えるが、それがすべてではない。不適切な請求だったのか、不正な請求だったのかは今後の調査によって明らかにしていきたい」と述べた。

<YHCの和田誠社長>
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YHCの和田誠社長は、不適切請求について、「引越サービスは引越しされる顧客の都合で、当初の見積りから家財量が増減したり、付帯作業の要否が変化することが多く、法人の顧客に事前に了解済みの見積金額と実作業に差分が生じることがある。その際は、実作業に即した金額を請求するのがYHCの基本ルール」と断ったうえで、「今回の調査では、全12万4000件の約4割がこの基本ルールを逸脱し、見積額をそのまま請求していた。これは実作業に即した金額を請求するという基本ルールが全社に周知、徹底できていなかったこと、またルールを順守するための作業フローとチェック機能に大きな不備があったことによるものと考えている」と話した。

今後、抜本的な再発防止策をYHCに設置した「事業構造改革推進室」で、策定していくが、「基本ルールの周知と再徹底」「法人向け引越サービスの商品構成の抜本的見直し」「見積りルール、精算ルール、運用体制・監査体制の再構築」「社員の教育、スキルアップのための認定制度の導入」「ICTの活用による運用全体の可視化」等を挙げている。

社内処分については、調査委員会の調査報告を受け、処分を決定する予定だ。

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