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物流最前線 Top Interview
オペレーション革命を進め
グローバルに飛躍する

2020年03月31日/物流最前線

20200323hitachi01 520x347 - 物流最前線/トップインタビュー 日立物流 中谷康夫社長

日立物流が「LOGISTEED」というビジネスコンセプトを掲げ、様々な改革を進めている。物流領域をコアとしながらも、金流・商流・情流・物流という4つの流れをLOGISTEEDで束ね、物流起点/基点でサプライチェーンをデザインする試みだ。すでにSSCV(スマート安全運行管理システム)やECプラットフォームセンターが稼働するなど着実に実績を積み重ねている。中谷康夫社長は「その先にあるのは世界を見据えたグローバル戦略だ。そのためには継続的な投資を可能とする強固な経営基盤の構築が最重要となる」と話す。2020年、日立物流の進む方向性とそのために何を成し、何を掴むのか、中谷社長に新年度に向けての揺るぎない決意を伺った。 取材:3月4日 於:日立物流本社

<春日部市のECプラットフォーム>
20200323hitachib2 520x365 - 物流最前線/トップインタビュー 日立物流 中谷康夫社長

経済の変動要素が大きくなっている

―― 現在の経済状況からお伺いしますが、とにかく今は新型コロナで大変な時期ですね。

中谷 最近の新型コロナ騒動で出てきている状況というのは、日本のモノ作りが、いかに中国を巻き込んだサプライチェーンで構成されていたかということを如実に感じますね。我々のメイン顧客であるメーカー系企業は自動車や家電製品にしろ、2割から3割の生産減となっています。

―― 中国にはたくさんの日本企業が進出していますからね。

中谷 そうですね。しかし、実は新型コロナ以前から大変でした。米中貿易問題です。米中問題は決して2国間だけの問題ではなく、サプライチェーンで日本やアジア、世界に関係しているので、当社の国際輸送事業もダメージを受け、第3四半期は厳しかったです。とはいえ、実態経済として、中国国内の内需は動いていたわけですが、それが今回の新型コロナにより、完璧に動かなくなりました。おそらく、2月、3月の中国の売り上げは、半分とは言いませんが、3割以上は減るものと思います。2020年前半は厳しい局面が続くでしょう。
(注)3月19日現在、日立物流は当局の許可を得て、武漢をはじめとした中国の拠点はすべて稼働している。また、顧客の売り上げも変動している。

―― メーカーサイドでは以前からリスク回避でチャイナ+1ということで、東南アジア等に拠点を設ける動きが活発だったと思いますが。

中谷 確かにその動きは顕著だったのですが、東南アジアに代替を求めても、まだ品質保証面で問題もありますし、また、生産地だけではなく消費地でもある中国を巻き込んだサプライチェーンを構築しなければいけないので、すぐにはできない。そうなってくると、今回の影響で生産数は落ち込みますね。現在、各メーカーとも中国政府の許可が降りたところから工場再開していますが、フル稼働までに時間がかかる状況のようです。

―― 日立物流の拠点も中国にはたくさんありますね。

中谷 現在、中国政府の許可が降りたところは全て稼働しており、残るは武漢だけです。

―― 一方で、日本国内でも新型コロナで小中学校の休校措置が取られました。

中谷 この問題も大きいですね。例えば流通系の物流拠点では、パートナー社員の学校問題に対応しなければなりません。一時的に派遣社員を増やしたり、本社や営業部門からも応援を出したりしないといけません。まさにコストアップの大きな要因となります。人手不足が以前から言われている中での取り組みですので、余計大変なことになっています。ただ、日立物流では、以前から好きな時間に2〜3時間働ける人たちの募集を行っており、この部分では人が集まりやすい状況をできる限りつくっています。しかし、最終的には「働き方改革」そのものの問題になってしまいますね。

―― 50年に一度の大変革期と呼ばれる中、このところ自然災害や国際問題などさまざまな要因が経済を左右していますね。

中谷 そうですね。欧州ではブレグジット(英国の欧州連合離脱)もあり、自然災害では、日本国内も台風や大雨等の被害が頻発しています。そこに米中貿易問題、新型コロナ騒動ですからね。経済の変動要素が大きくなっていると感じています。日本の物流でも根本的な問題はトラックドライバー不足とか労働力不足ということですが、先に述べた変動が激しくなると、相乗的に作用し、業績に大きな影響を与えてしまいます。これは日立物流だけでなく、全ての物流事業者に当てはまることです。これは1社だけでは解決は無理で、協力会社、業界、政府を含めて解決していく問題だと思います。

<今は危機感しかないと語る中谷社長>
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