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物流最前線 Top Interview
オペレーション革命を進め
グローバルに飛躍する

2020年03月31日/物流最前線

提供するソリューションの集合体がLOGISTEED

―― 今日の本題であるビジネスコンセプトの「LOGISTEED」に移りますが、2010年ころから考えられていたと。

中谷 そうですね。先ほど2010年頃からその原型を考え始めていたと話しましたが、正式に発表したのは、2018年です。「LOGISTEED」には、ロジスティクスを超えてビジネスを新しい領域に導いていく意思が込められています。スマートロジスティクスをコアとしながらも、事業・業界を越えた協創領域の拡大を図り、新たなイノベーションを実現していく。そのために日立物流が提供するソリューションすべてとも言えます。

―― 金流・商流・情流・物流の4つの流れを束ねることが重要だと話しています。

中谷 なぜ4つの「流」なのかといえば、我々の立ち位置から考えますと、まず生い立ちはメーカーの物流をやってきた会社であり、その仕事はメーカーが作った製品を商流側に渡すと言う役割でした。加えて、製品流通における、発注・在庫・生産に関連する情報の流れをつなぐための在庫管理システム(WMS)を構築することで、メーカーの物流会社から3PLの物流会社へと発展してきました。ここで手付かずの分野があります。一つは製造の前、サプライヤーとのつなぎの部分。もう一つは宅配事業者の行っているtoCの部分です。我々としても、ここは大きな視点で捉え、サプライチェーンを物流の視点で捉えて顧客に提案していかなければなりません。サプライチェーン全体を俯瞰した提案をすることで、我々のバリューの総和は増えていくだろうと、このような考え方でスタートしたわけです。

―― 4つの流れを束ねるために4つのキーワードを挙げています。

中谷 シェアリングエコノミー、AI・ロボティクス、IoT、フィンテックの4つですね。シェアリングエコノミーの例でいえば、ラストマイルをやるために足りない部分は、SGホールディングス(SGH)・佐川急便との資本提携を進めることで実現しました。施設のシェアリングを通じて佐川急便とつながるということです。我々の倉庫を佐川急便のターミナルとして活用するというコンセプトでやっています。サプライヤーとの関係では、パートナー企業として金融サービスの日立キャピタルがあります。サプライヤーからメーカーに調達品を納入する部分では、日立キャピタル側のファイナンス機能を活用し、納入後にメーカーから回収するというスキームをつくりました。そのベースになるのが日立物流のWMSになるのです。

―― これがフィンテックの部分ですね。

中谷 商品が倉庫や工場に入ってきたときに、どこで所有権が変わったのかということをWMSですべて管理しているわけです。所有権移転(決済)のタイミングが物流現場で起きているのに、この部分を物流会社は全然やっていません。例えばそれを日立キャピタルと一緒にやるわけです。決済は、全て日立物流のデータでお金のやり取りをするということです。このフィンテックに近い決済機能をうまく取り入れているのが、宅配便の代引き制度です。要するに、最初に決済が起きたかどうかが分かるのが物流業者だと考えると、ここの部分の提案をどうしていくか、これは我々の狙いどころだと思っています。

―― AI・ロボティクス、IoTについては。

中谷 これは情報の流れは見えるのですが、モノゴトの流れをもう少し「見える化」したい。我々の業務をもっとシンプルにするために、さらなる改善を図るためにも、IoTの考え方やAIロボティクス化は必要だろうと思います。こういうことから、この4つのキーワードで進めていこうと決めたわけです。

―― そのために必要なのがデータの標準化だと。

中谷 そういうことです。我々のデータ基盤が整備されていないと、絵に書いた餅になってしまいます。そのためその整備を進めていますが、サプライチェーンの可視化である「SCDOS」、倉庫オペレーションの「スマートウェアハウス」、車両管理である「SSCV」の3つのシステムを持って我々のデジタルプラットフォームと呼んでいます。さらに付加価値となる要素を積み上げて、ビジネスを拡張したいと考えており、そのために多くのパートナー企業と協創を進めています。ただ、デジタルだけのプラット―フォーマーは、物流では成り立たないと思います。我々の強みはフィジカルプラットフォーム、つまり物流現場を持っていることです。現場のオペレーションを回していけるフィジカルプラットフォームがあってこそのデジタルプラットフォームなのです。LOGISTEED元年が2019年、そして2021年にはシステム全体を完成させる予定です。

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