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人手不足倒産/道路貨物運送が全業種で累計トップ

2020年04月08日/調査・統計

帝国データバンクは4月7日、「人手不足倒産」の動向調査(2019年度)を発表した。

それによると、業種別件数をみると、2019年度の運輸・通信業は、36件(12.5%)と全業種3番目の数字となった。

トップは「サービス業」が前年度比4.1%の増加で、最多の51件(26.3%)となった。「建設業」(48件)がこれに続き、この2業種で全体の過半(51.0%)を占めた。増加率では、「卸売業」(20 件)が前年度比233.3%増でトップだった。

<調査開始以降7年間の累計件数>
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一方、ここ7年間の累計件数では、「道路貨物運送」が 82 件で最多。このうち、2019年度は30件(20.0%増)と、ドライバー不足による受注難から収益悪化を招き、倒産に至るケースが目立った。

以下、「木造建築工事」(43件、2019年度12件)、「老人福祉事業」(38件、6件)、「建築工事」(31件、8件)、「労働者派遣」(30件、7件)と続く。

ドライバーのほか、建築職人、介護スタッフ、IT技術者、美容師など、専門職の定着や確保に窮した企業の倒産が相次いだ。

2019年度の人手不足倒産は、194件(14.8%増、負債総額354億300万円)発生した。増加率は前年度(48.2%増)より鈍化したものの、調査開始以降6年連続で最多を更新し、右肩上がりでの推移が続いている。

業種別では、女性やシニアが就業しにくい建設業や道路貨物運送業のほか、資格や免許など高度な専門的スキルが求められる老人福祉事業や受託開発ソフトウェア、美容業など、人手確保の困難な業種が顕著に上位を占めた。

この4月からは、大企業を対象に「同一労働同一賃金」の適用がスタートし、一部の業種を除く中小企業では、1年間の猶予期間を経て改正労働基準法による「時間外労働の上限規制」が適用された。

労働条件や職場環境の改善が進む企業と進まない企業との格差は一段と広がる可能性もある。さらに現在、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、日本への渡航、入国を制限する措置がとられ、来日できなくなった技能実習生などの外国人労働者不足が生じていることから、こうした影響のさらなる深刻化も危惧される、としている。

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