まだ弱い関西圏の拠点の充実図る
―― さて、御社は2020年7月に2023年3月期までの中期経営計画を立てています。2023年3月期には2300億円の売上高を目指すとしています。
黒岩 2020年3月期が1995億円ですから、300億円以上の増を目指しています。何もしないで自然増というのはあり得ず、自然減はあり得ます。当たり前のことですが、少子高齢化によりマーケットは縮小することは確実ですから、増を目指すなら、既存顧客の潜在需要を掘り起こすか、新規顧客を獲得するかしかありません。それができないと、現状維持すら難しいということです。新規顧客獲得には、新たに新規の業界をターゲットにしていきます。
―― 新規の業界にはどのようにして挑戦するのですか。
黒岩 もちろん独自に挑戦することもあり得ますが、これはとてもリスクが大きいことを意味します。ですから、選択肢としてM&Aもあり得ます。ゼロからスタートするよりも、その業界を熟知している企業と組んだほうが、リスク回避もできますし、時間短縮できることで進展も早くなります。もう一つは地域戦略です。
―― 地域戦略というと。国内はほぼカバーしているのでは。
黒岩 全国展開を謳っていても、地域によってはまだまだ弱い地域があります。当社は埼玉県を中心とした関東圏と、中部、九州、東北についてはそれなりの拠点を持ち、強化に努めていますが、関西圏ではまだまだ弱いのです。そこを強化していきたいですね。
―― 海外展開はどのように進めますか。社長は海外赴任も長かったと聞いています。
黒岩 そうですね。駐在したのはタイとアメリカですね。タイでは拠点を立ち上げています。元々国内でも拠点立ち上げが私の仕事だったもので、当時私は「立ち上げ屋」と呼ばれていました。立ち上げは全くゼロから始めるので、大変ですがとてもやりがいのある仕事でした。海外展開では、東南アジアとアメリカ、中国を中心に据えています。欧州には優秀な物流事業者が数多くあり、もし進出するにしても業務提携程度となるでしょう。東南アジアや中国には、まだまだ私どもが展開できる領域があると感じています。
―― 新規事業については。
黒岩 我々はやはりBtoBの総合一貫物流をコアとしながら、その周辺を固めていく戦略です。ですから、全く関係ない新規事業には手を出す余裕はありません。ただ、私は新規事業が好きですが、会社が資金をだすわけですから、成功の可能性が8割から9割ないと許可はだせません。これまでいろいろやってきて、失敗も重ねていますので、ある程度のコツはつかんでいます。それはどれだけ多くの想定外の事態を予測できるかということですね。これが成功の秘訣です。
―― ストレスのたまる社長業ですが、何か健康法は
黒岩 社内ではストレスチェックというものを行っているのですが、社長は受けさせてもらえません。「あなたはストレスを与える側だ」と。たしかに、会社の中では上司によるストレスはないかもしれませんが、やはりストレスはありますよ(笑い)。スポーツはゴルフ等もやりますが、時間がもったいないので、昼間より早朝とか夜の打ちっぱなしがいいですね。健康面では全く入院したこともなく、現在70歳ですが目も1.5で老眼鏡も必要ないのです。親に感謝ですね。
■プロフィール
黒岩 正勝(くろいわ まさかつ)
生年月日 1951年2月2日生
1973年3月 日本梱包運輸倉庫入社
1981年9月 同社鈴鹿センター営業所長
1986年6月 取締役
1989年6月 常務取締役
1994年11月 A.N.I.LOGISTICS.LTD.社長
1999年6月 日本梱包運輸倉庫専務取締役
2003年1月 NK PARTS INDUSTRIES.INC.会長兼社長
2009年4月 日本梱包運輸倉庫営業本部長
2009年6月 同社代表取締役社長
2011年6月 同社代表取締役社長兼執行役員
2015年10月 ニッコンホールディングス設立
同社代表取締役社長
日本梱包運輸倉庫代表取締役会長
現在に至る
■ニッコンホールディングスのWebサイト
http://www.nikkon-hd.co.jp/