川崎汽船は4月14日、日揮グローバルと共同で、既存のLNG輸送船のLNG貯蔵タンクを利活用した新形式のFLNG(浮体式LNG生産設備)ハルの概念設計を確立し、アメリカ船級協会(ABS)から、設計基本承認(AIP)を取得したと発表した。
FLNGは、主にLNG貯蔵タンクを含むハル(船体)部分と、「トップサイド」と呼ばれる上載プラントで構成し、天然ガスを液化したLNGの生産・貯蔵・出荷を洋上で行う。
原料ガス輸送用のパイプライン敷設コストを削減できるほか、ガス田枯渇後もFLNGを別の海域に転用できることなどから、陸上から遠く離れた海底ガス田、中でも陸上LNGプラントでは採算が合わない中小規模ガス田の開発に適しているという。
川崎汽船によると、中小規模の海底ガス田は、世界の海底に数多く存在しており、新興国を中心とするエネルギー需要の増加と、化石エネルギーの中でも環境に優しいLNGへの転換に伴い、アジア・アフリカ地域を中心にFLNGの事業化計画が複数進展しているという。
川崎汽船と日揮グローバルは、国土交通省の支援を得て、新形式のFLNGハルの開発を推進。今回のFLNGハルは、中心機能のLNG貯蔵設備に、旧世代の既存のLNG輸送船から球形(モス型)タンクを移設・再利用し、高価で特殊技術が必要なLNG貯蔵タンクの新造を不要とすることでハルの建造費の低減と、それに伴うハル建造が可能な造船所の選択肢の増加、納期短縮、価格低減を追求した。
<取得したABSの設計基本承認書>
2社が取得した設計基本承認は、新規技術や既存規則が詳細に規定されていない分野で、認証機関が基本設計を審査し、安全性や技術要件の基準を満たすと承認されたことを示すものになる。
川崎汽船では、日揮グローバルとのFLNG開発成果も生かしながら、多様化する顧客ニーズに対応するべく引き続きLNGのバリューチェーン事業に注力していくとしている。
日本郵船、商船三井、川崎汽船など/低圧液化CO2輸送船のAiP取得