オリックス不動産は5月24日、埼玉県加須市で竣工した物流施設「加須ロジスティクスセンター」で、報道関係者向けの内覧会を開催した。
同施設は、オリックス不動産が開発した48件目の物流施設。東北自動車道「加須IC」から4.5kmの距離に位置しており、東北道・圏央道を利用した関東全域や東北地方への広域配送が可能な立地環境にある。
地上3階建て延床面積4万8000m2のマルチテナント型施設で、1階と2階に大型車(10t車)計100台分のトラックバースを設けた。これにより、入出荷の効率性を高めており、施設の用途としても配送センター型の使用を見込んでいる。2階のバースにはスロープで車両の乗り入れが可能。1階が平屋使い、2・3階がメゾネット仕様で、最大4テナントの入居に対応している。
<1階倉庫の最奥部からバース方向を撮影、約80mとかなりの奥行がある>
倉庫スペースでは、1階の梁下有効高を7.0mと一般的なマルチテナント型施設(5.5m)と比べて高く設定したことで、保管効率を高めた。2・3階では、同規模帯の施設よりも上下搬送設備を多く実装(荷物用エレベーター5基、垂直搬送機4基)したことで、スムーズな入出庫を実現している。
<休憩室は装飾等を控え、テナントの要求を満たせる仕様とした>
また、3階には入居希望者からの要望が多い作業用空調設備を完備。施設の南北2か所に従業員向けの休憩ラウンジと事務所を設置しており、徒歩圏にコンビニエンスストアが2件あるなど、働きやすい環境が整っている。
同施設で使用する電力は、屋根に設置した太陽光発電システムからの電力や、グループ会社のオリックスによる非化石証書付き(トラッキング付き)電力の供給によって、全量を再生可能エネルギー由来の電力で賄うことが可能。従業員向けの駐車場の一部にはEV(電気自動車)充電スタンドも設置しており、これらの環境性能が評価されCASBEE(新築)Aランク認証を取得している。BCP対策としては、24時間稼働を想定した非常用発電機を設置し、停電時にも物流機能を維持できるようになっている。
<オリックス不動産 投資開発事業本部の平川 直人 物流事業部長>
同施設では、5月24~26日にかけて内覧会を開催しており、3日間で物流企業を中心に計37社が来場を予定している。現時点で入居企業は未定だが、引き合いは強いとのこと。
リーシングについて、オリックス不動産 投資開発事業本部の平川 直人 物流事業部長は「昨今では地価の上昇によって、物流施設デベロッパー各社の開発エリアが久喜からより外側にある加須へと移っており、テナントの獲得や従業員確保の競争が以前より激しくなっている」と、加須周辺の市場環境を分析したうえで、「加須ロジスティクスセンターでは、作業用空調の設置等による従業員が働きやすい環境の提供や、地形を生かした豊富なトラックバースを強みとして、配送系や周辺に倉庫が多い医療系の需要を見込んでおり、半年程度で満床を目指す」と、見通しを語った。
■「加須ロジスティクスセンター」概要
所在地:埼玉県加須市道目1584-1
アクセス:東北自動車道「加須IC」4.5km、同「羽生IC」6.0km
JR宇都宮線「栗橋駅」5.0km、東武伊勢崎線「花崎駅」5.5km
敷地面積:3万155.25m2
延床面積:4万8003.58m2
構造・階数:S造 地上3階建て
駐車場台数:普通車75台、トラックバース100台、大型トラック待機場6台
倉庫スペース仕様:【床荷重】1.5t/m2、【梁下有効高】1階7.0m(一部除く)、2・3階5.5m(一部除く)
その他:全館LED照明、非常用発電機、太陽光発電設備、EV充電スタンド5基、ドックレベラー18基
設計:浅井謙建築研究所
施工:東洋建設
着工:2022年3月1日
竣工:2023年4月14日
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