トヨタ自動車(トヨタ)は9月8日、同社のの北米事業体であるToyota Motor North America, Inc.(TMNA)は、カリフォルニア州ロングビーチ港の物流拠点トヨタロジスティクスサービス(TLS)において、グリーン水素をオンサイトで生成する施設「Tri-Gen(トライジェン)」を竣工したと発表した。
これにより、100%再生可能エネルギー由来のカーボンニュートラル(CN)な港湾オペレーションの実現を目指す。
Tri-Genは、燃料電池発電事業を手がける「FuelCell Energy」社が運営しており、同施設は2.3メガワットの発電が可能な燃料電池(FC)発電所及び水素ステーションを併設。畜産場の家畜排泄物や余剰食品等の廃棄物系バイオマスから水素を取り出し、燃料電池を用いて発電することで、再生可能エネルギーから水素・電気・水の3つ(Tri)の物質を生成(Generate)する。TMNAはFuelCell Energy社からこれらの水素・電気・水を20年間購入する契約を締結した。
Tri-GenはTLSのオペレーションを支援。まず、日当たりの発電量は2.3メガワットで、米国の一般家庭約2300世帯分の日当たりエネルギー消費量に相当。そのうちTLSの物流オペレーションで必要な分を使用。日当たりの水素生産量は約1.2トンで、燃料電池車MIRAIへの供給分として使用。およそ200台以上を満タンにするのに必要な充填量に相当。港湾オペレーションに使用する大型商用トラックなど、他の燃料電池車両にも供給可能。日当たり1400ガロン(≒5,300リットル)の水を生成し、同港から販売店に配送する車両の洗車作業に使用。これにより、水道水の消費を年間50万ガロン(≒約190万リットル)削減可。
また、地域社会への貢献として、TLSのオペレーション支援により、発電由来のCO2排出量を年間9000トン以上削減することが期待できる。年間6トン以上の発電由来のNOx(窒素酸化物)排出を防ぐことにつながるほか、港湾業務での燃料電池トラックの使用により、年間42万ガロン(≒159万リットル)以上のディーゼル燃料の消費量を削減できる可能性がある。TLSで使用されなかった余剰電力は、同州のBioMAT(Bioenergy Market Adjusting Tariff : 3,000kW以下のバイオマス由来の発電に関する固定価格買取制度)プログラムに基づき、地元の電力会社であるサザン・カリフォルニア・エジソン社に供給され、地域の電力安定供給に貢献する。
TMNAのChief Administration Officerであるクリス・レイノルズは、「TLSのロングビーチ拠点は、物流オペレーションに、バイオマスから生み出されたクリーンな水素と電力、更にはFC発電の際に生じる水を活用することで、トヨタの物流拠点のCNオペレーション化の先駆けになる。FuelCell Energy社との協力により、トヨタのCO2排出量削減目標の達成を支える世界最大規模の施設が完成した」と述べている。