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連載 物流の読解術 第8回 人や場所によって変わるサービス

2023年11月28日/コラム

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サービスの4つの特徴

前回書いたように、一般の商取引には、商品の売買(有形財、所有権が移転する)と、サービスの売買(無形財、所有権が移転しない)がある。

前者の例として、コンビニでおにぎりを買うと、所有権が購入者に移転するからこそ、食べることもできる。後者の例として、宅配便で荷物を送っても、荷物の所有権が配送業者に移転することはない。これこそ配送などの物流が、サービスであることの証でもある。

物流を含めサービス(無形財)には、商品(有形財)と異なって、1.非有形性、2.非不可分性、3.非貯蔵性、4.非均一性の4つの特徴がある(表、参照)。

表1 サービス(無形財)の4つの特徴

非有形性 :目で見たり、手に触れることができない
非不可分性:生産と消費の場所を、切り離すことができない
非貯蔵性 :生産と消費の時間を、切り離すことができない
非均一性 :提供者によって、サービスの品質を同じにはできない

非有形性(無形性)
非有形性(無形性)(1)とは、「形が無い(無形)からこそ、目に見えず手で触れられないこと」である。

たとえば、丁寧な態度や動作は外見として目で見ることができるものの、内面の心持までを量ることはできない。また、輸送では貨物車や荷物に触れることはできても、輸送そのものの行為には姿かたちが無いので、触れることはできない。保管においても、倉庫内の商品に触れることができるが、保管の行為そのものには触れることはできない。そして、視覚や触覚で実物の色形や手触りを確かめられる商品と異なり、サービスは髪のカットのように事前にカット後の姿を知ることができない。

実は、教育も、学生や生徒に無形の知識を伝えるという意味で、サービスである。なにしろ、教師の頭の中にある知識を確かめることも、取り出すこともできないのである。

非不可分性(即地性、同地性)
非不可分性(即地性)(2)とは、「生産と消費の場所を、切り離すことができないこと」である。

一般に商品は、工場や農場などで生産されてから小売店舗まで運ばれて販売されるため、生産と消費の場所が異なることが多い。しかし、サービスは、生産と消費が同じ場所になる。たとえば、美容院で髪をカットするときは、髪をカットする美容師とカットしてもらう顧客が「同じ場所」にいなければならない。

輸送においても同様であり、運び出す「場所」に荷物とトラックがいなければならない。

非貯蔵性(即時性、同時性)
非貯蔵性(即時性)(3)とは、「生産と消費の時間を、切り離すことができないこと」である。

商品であれば在庫として保管できるが、美容師が身に付けている技術を取り出して保管することはできない。このため場所と同じように、美容師と顧客が「同じ時間」にいなければならない。

輸送においても同様であり、運びだす「時間」に荷物もトラックがいなければならない。

非均一性(可変性)
非均一性(可変性)(4)とは、「サービスを提供する人によって、サービスの品質が変わること」である。

たとえば、工場で生産される製品であれば、同じ品質や性能を確保できる。しかしサービスでは、美容師によってカットの技術や出来栄えが異なることは多い。また、物流においても、配送会社や運転手によって丁寧な配送もあれば乱雑な配送もある。

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