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連載 物流の読解術 第20回:配送密度と平面型共同配送 -物流共同化を考える(8)-

2024年11月26日/コラム

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共同配送におけるルート配送の特徴

前回(第19回)では、発地の位置と平面型共同配送の走行距離を考えてみた。今回は、配送密度の違いと平面型共同配送の走行距離を考えてみることにする。

平面型共同配送のうち、ルート配送と呼ぶ配送方式がある。ルート配送は、一般に共同配送センターに貨物を集めてから、複数の着地(配送先)別に仕分けて順番に届けることである。ルート配送のメリットとして、共同配送センターで品揃えや小分けを行うことで、着地(配送先)での貨物車の到着台数を削減することができる。この一方、デメリットとして、共同配送センターの位置や着地(配送先)の密度によって総走行距離が長くなることがある。

ルート配送の実態

代表的なルート配送には、コンビニや日用雑貨品などの店舗への配送がある。共同配送センターで在庫管理や品揃えをおこない、これを複数の着地(配送先)にルート配送することは、広く実施されている(図1)。

コンビニの店舗配送では、商品特性ごとに5つ程度(米飯、常温、チルド、フローズン、雑誌)に分けて品揃えするとともに、ドミナント戦略として一つの地域に展開した複数の店舗に配送している。このとき、昼間人口の多い大都市の都心部では、同じコンビニの店舗が数十mの距離で並んでいても、それぞれ十分な顧客を確保している。

配送密度の違いによるルート配送の効果

ルート配送において、共同配送センターからの貨物車の総走行距離は、配送密度の違いにより、大きく変動することになる。

具体的には、複数の着地が一定の地域に密集して配送密度が高ければ、配送時の走行距離も短くなる。逆に、着地(配送先)が広範囲に点在して配送密度が低ければ、配送先間の移動距離も長くなり、結果として走行距離が長くなってしまう。

そこで、今回の補論(第20回)では、着地(配送先)間の距離の長短がルート配送における配送密度を示すものとして、配送密度の違いによる貨物車の走行距離を考えることにする。

<図1 直送と共同配送(ルート配送)の比較>
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【補論】:数字とグラフで読み解く「物流の課題」
(その7) ルート配送での配送密度と走行距離​

中央大学経済学部教授 小杉のぶ子​

ルート配送における貨物車の走行経路

共同配送のルート配送について、極端な例で考えてみよう。配送密度が低く配送エリアまでの幹線距離が短い場合と、配送密度が高く配送エリアまでの幹線距離が長い場合である。

ここで考えるのは、配送先の密度の違いであるから、発地の位置は変わらないとする。したがって、「発地から共同配送センターまで」の距離は一定である。よって今回は、「共同配送センター→配送先→共同配送センター」というルート配送の走行距離を、密度の違いにより比較する。

配送密度が低い場合のルート配送の走行距離

配送密度が低いときの例として、図2(1)のように共同配送センターを含め3つの着地(配送先)が、1辺10kmの正方形の頂点に位置している場合を考える。これは、共同配送センターと着地が、半径約7kmの円周上に等間隔に位置していることと同じである。

この場合、3つの着地(配送先)をまわり共同配送センターに戻るまでの走行距離の合計は、40km(10km×4=40km)となる。

配送密度が高い場合のルート配送の走行距離

配送密度が高いときの例として、共同配送センターと3つの着地(配送先)が図2(2)のように位置している場合を考える。ここで、共同配送センターと配送先 P2 は、図2(1)と同じ位置にあり、他の2か所の配送先であるP1とP3は、P2からそれぞれ南と北に1kmの位置にあるとする。共同配送センターと配送先P2の間の距離は、図2(1)より、一辺10kmの正方形の対角線の長さと等しいことから、約14.14kmであることがわかる。また、「共同配送センターと他の配送先(P1、P3 )の間の距離」を計算すると、約14.18kmとなるが、これは「共同配送センターと配送先P2の間の距離(約14.14km)」とほぼ等しく、ともに約14kmとなる。

この場合の走行距離は、高密度地域までの往復の距離(14.18km×2)と、地域内での移動距離(1km×2)の合計となり、約30kmとなる。

<図2 ルート配送での配送密度の違いによる走行距離の違い>
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走行距離のグラフ表示

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<図3 ルート配送における配送密度と走行距離>
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連載 物流の読解術 第19回:共同配送センターの位置と平面型共同輸送-物流共同化を考える(7)-

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