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ANA、ロジレス/昼間帯の空きスペース活用×DXでEC向け新サービス

2024年02月28日/IT・機器

全日本空輸(ANA)とロジレスは2月27日、空輸とDXを組み合わせることで、2024年問題に対応する効率的な新EC物流スキーム「ロジレス便」構築に向け、羽田空港第2ターミナルで実証取材会を行った。

ANAの国内旅客便の空きスペースを活用し、ロジレスが提供するEC自動出荷システム「LOGILESS」と連携することで、2024年問題等の影響で翌日配送ができなくなるエリアへ、コストを抑えながら翌日配送を可能にするというスキームで、同日、羽田空港から岡山空港へ向けてのデモ実証を行った。

<左から、ロジレス足立CEO、ANA Cargo末原常務>
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実証に先立ち、ANA Cargoの末原 聖常務は、今回の取り組みについて「物流の2024年問題への航空貨物の活用について、既存の輸送力を十分に活用できていないという背景がある。ロジレスさんの物流DXと連携し、貨物の需要の山をずらすことで割安なスペースを活用し、陸路と競争力のある価格帯で提供できることとなった」と説明した。

現在、ANAの国内旅客定期便の貨物重量利用率は約20%で、そのほとんどが朝と夜に集中している。昼間帯の空きスペースを活用することで約125万トン分/年間の輸送力が提供可能となる。また、羽田と千歳・伊丹・福岡を結ぶ主要3幹線についても平日のコンテナ搭載率は30%に留まっており、空きスペースを活用すれば、1日当たり10トントラック140台分の輸送力があるという。

ロジレスの足立CEOは、「EC事業者から早く届けたいという相談があった場合、これまでは国内に複数の拠点を持つなどの対応を勧めていたが、資金面などハードルも高かった。ANAとの連携により中小のEC事業者でも無理なく翌日配送が実現でき、2024年問題やEC市場の成長にも寄与できると考えている。新しいEC物流の常識をつくっていきたい」とコメントした。

<実証の様子 羽田空港に運ばれてきたロジレスのコンテナ>

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<岡山行きの旅客機に搭載し空路で輸送>
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実証では、羽田空港にトラックで運ばれたコンテナを岡山行きの旅客機に搭載し、岡山空港で運送事業者に引き渡す様子が披露された。この日は強風のため運航に影響があったものの、約1時間30分で羽田から岡山に到着した。

同スキームは、スピード感に加えコストについても強みを発揮する。今年4月には、対象便を限定した「陸送と競争力のある」新運賃を発表する予定(国土交通省へ届出中)で、末原常務は「早ければよい、ということではなく、1つの新しい選択肢が提供できると考えている。航空便=高いというイメージを払拭し、EC事業者にぜひ興味を持ってもらいたい」と語った。

両社が実施したシミュレーションによると、EC事業者が関東から九州に配送する際のコストは、ロジレス便を活用した場合、現状のトラック輸送と比べて約2割の費用削減が実現可能という結果となったという。

今後、今年4月1日からANA羽田発岡山行き定期便を活用した輸送で、一部のEC事業者、倉庫事業者を対象にサービスを開始する。なお、現時点では空きスペースとシステムの一元管理はできていないが、今秋を目途にAPIを連携・公開し全事業者に対象を拡大する予定。その後さらに活用範囲を拡大し、日本全国への翌日配送を目指している。

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