東京都は「2024年問題」対策として、4月1日から再配達削減等の物流効率化へ向けたプロジェクト「東京物流ビズ」を展開する。そのキックオフイベントが3月28日、都庁で開かれ、小池百合子都知事をはじめ行政・関連団体・物流通販事業者らが登壇、官民が一体となって物流改善に取り組んでいくことを印象づけた。
壇上には、都のほか国土交通省、経済産業省、東京都トラック協会、ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便、アマゾンジャパンなどの各担当者がずらり。冒頭、小池都知事が「物流は生活や経済を支える重要な社会インフラ。機能を維持し脱炭素を通じて東京を持続可能な都市とするためにも物流の効率化は待ったなし」とし、物流効率化への社会ムーブメントを醸成するプロジェクト「東京物流ビズ」を開始することを宣言した。
プロジェクトは、工場や生産地からラストワンマイルまで様々な取組みを展開する。物流事業者支援では、人材確保や設備投資で業務を効率化する取組みを助成金等でサポート。また、物流事業者が効率的に荷捌きを行うため、集配送先となる住宅地等で駐車スペースを無償で提供する「貨物車駐車スペース提供事業」を開始する。さらに、東京港で取り扱うコンテナ貨物輸送のモーダルシフトへの取組みについても、補助金などにより後押しする。
再配達削減への取組みとしては、「消費者の意識啓発が何より重要」とし、啓発を促すツールとして置き配バックの配布を支援する。宅配事業者が行うキャンペーン活動などで配布する置き配バックについて、その費用の半額を都が補助するもので、公募により先行事業者として佐川急便、日本郵便、バルクオム、ヤマト運輸の4社を選定した。このほか、宅配ボックスについても設置する区市町村に対し経費の1/2を助成する。戸建て・賃貸を問わない。
小池都知事は「消費者の行動変容を促す一翼を担っていただきたい。『みんな守る、物流の未来』を合言葉に、ともに進めていきましょう」と力強く呼びかけた。
続いて、国土交通省物流・自動車局の鶴田浩久局長が、2024年問題への国の取組みを紹介。「この問題はみんなで取り組まないと解決しない。2024年は始まりにすぎない。関係省庁をあげて取組み、物流改善へ法制化に向け審議している。力を合わせて取り組んでいきたい」と強調した。また、4月を再配達削減PR月間とし、消費者への行動変容に向けて、ゆとりのある配送や受取方法の選択によるポイントバックの実証を、今秋から実施する考えを示した。
東京都トラック協会の浅井隆会長は、「トラックを止めないためには、荷主や都民の皆さんの協力が必要だ。今まで当たり前だと思われていた物流への意識改革を、業界だけで浸透していくことは難しかった。こうしたプロジェクトを通じて、都民の皆さんに知ってもらえることは大きい」と、期待を語った。
東京都/特設サイトで再配達削減を呼び掛け、各社サービスを紹介