LNEWSは、物流・ロジスティクス・SCM分野の最新ニュースを発信しています。





日本郵船/木材チップ運搬船で掻き出しロボットの試行実施

2024年04月12日/IT・機器

日本郵船は4月12日、日本製紙、知能技術、岩国産業運輸と共同で、荷役中の木材チップ専用船の船倉内で木材チップを掻き出すロボットの遠隔操作トライアルを、4月5日に山口県の日本製紙 岩国工場で実施したと発表した。

<船倉内で木材チップを掻き出すロボットの遠隔操作トライアルの様子>

トライアルでは、日本郵船と日本製紙の長期輸送契約に従事する木材チップ専用船で、掻き出しロボットの試作機を用いて作業を実施。荷役中に船倉内で2時間にわたって遠隔操作を行い、機能性や安全性を確認した。

<遠隔操作で掻き出し作業を行うロボット>
20240412nyk21 - 日本郵船/木材チップ運搬船で掻き出しロボットの試行実施

このトライアルは、船倉内の作業環境や労働安全性の向上に加え、働き手不足などの社会的課題の解決に向けた取り組み。

木材チップ専用船では、船倉内に積載された木材チップをショベルカーで寄せ集め、クレーンで荷揚げするが、船倉の隅に溜まり壁に付着した木材チップを回収する際は、重機が届かない、あるいはそぎ落とす時に船倉壁を傷付けることがあるため、現状は作業員がスコップやフォークのような道具で掻き出している。

掻き出し作業には高さ10m程の船倉内を上り下りする必要があるほか、季節要因で船倉内が低温・高温になりやすく、木材チップが酸素を吸収するため酸欠のリスクがあるなど作業環境に改善の余地があり、また作業員の高齢化に伴う将来的な人員不足も懸念されている。

<掻き出しロボットの先端部分>
20240412nyk22 710x532 - 日本郵船/木材チップ運搬船で掻き出しロボットの試行実施

掻き出しロボットは、リモコンでの遠隔操作で油圧ショベルカーのアームと、取り付けられたスクレーパー(へら)とブラシを動かして木材チップを掻き出す仕組み。

高さ3mまでアームを伸ばして壁に付着したチップをはがしとるほか、船倉の隅に溜まった木材チップを、アームの位置を下げてブラシで直接寄せ集めたり、押し出すことができる。構造物の隙間など、狭い空間に挟まった木材チップも掻き出すことが可能。

4社は、2024年度中に初号機の完成と実荷役での使用を目指しており、同ロボットの実用化によって、さらに安全で持続的な荷役環境を実現。将来的には荷役現場から離れた場所でロボットを操作することで、男性・女性・高齢者・障がい者など多様な人が従事できる仕事の実現を目指す。

■各社の役割
【日本郵船】
・木材チップ専用船の運航者
・ロボット開発の企画と統轄

【日本製紙】
・木材チップ荷主
・掻き出し作業の機械化による船倉内の作業環境や労働安全性の向上という、社会的課題の解決を提起

【知能技術】
・掻き出し機能の基本設計、およびロボット開発

【岩国産業運輸】
・搔き出し作業実施者
・トライアルによるロボットの性能評価

日本郵船/中国製鉄最大手との合弁会社が初の自社船輸送実施

関連記事

IT・機器に関する最新ニュース

最新ニュース