帝国データバンク(TDB)は8月28日、価格転嫁に関する実態調査をこの7月に行い、その結果を発表した。
それによると、価格転嫁率は過去最高の44.9%となり、4.3 ポイント上昇も業種間で格差広がる結果となった。
サプライチェーン別の価格転嫁の動向をみると、「運輸・倉庫」は「物流の 2024 年問題の後押しもあり、取引先との交渉がスムーズにいくことが多い」(運輸・倉庫、愛知県)といった声が聞かれ、前回調査の27.8%から34.9%へと、ようやく3割を超えた。「値上げ交渉はしてきたが、想定以上の経費増によりすべて転嫁ができていない。再交渉には時間がかかる」(運輸・倉庫、宮城県)といった声も聞かれた。
全体では、最も川上業種である鉄鋼・非鉄・鉱業や鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売では50%を超えており、商流部門の飲食品製造、アパレル製造、電気機械製造、輸送用機械・器具製造、建材製造も40%を超えている。
一方で、最も川下に位置する「飲食店」(36.0%)や「飲食料品小売」(40.9%)では前回調査から転嫁率は後退し、「ある程度の値上げは消費者も理解してくれるが、あまりにも価格が上がると来店率が下がると思いなかなか値上げに踏み切れない」(飲食店、愛媛県)など、客離れを危惧して転嫁が難しいといった声が寄せられた。業種間で価格転嫁に格差が広がりつつある、としている。
政府の価格転嫁に対する支援は一定の成果があがっているようだが、現状を打破するためには、原材料の安定供給に向けた政策や賃上げの支援を継続しつつ、購買意欲を刺激する大規模な減税など収入の増加につながる多角的な経済施策が必須となると結論付けている。