日本貨物鉄道(JR貨物)は3月31日、「2025年度 事業計画」概要を発表した。
それによると、目指すべき方向性として、鉄道事業の基盤である安全と企業運営の基盤であるガバナンス体制の強化を通じて、企業風土を見つめ直し、鉄道物
流への信頼回復に努めるとともに、グループ社員の力を結集して総合物流企業グループへの進化と不動産事業の展開を新たなステージへ進め、発現する社会課題の解決に取り組む、としている。
2025年度事業計画のポイントでは、まず最初に「作業記録の書き換え等の不適切事案の再発防止」を挙げ、事業改善命令で示された「JR貨物の安全確保のために講ずべき措置」に記載されている「規程類の整備」、「教育体制の改善」、「作業記録の書き換えの防止」、「安全管理体制の点検と見直し」を確実に実施する。また、社長直轄組織として監査部内に設置した「業務監査室」において、外部有識者の知見を得ながら関係部室と連携し、継続的に内部統制状況の確認、強化・充実を図っていく。
他の重点ポイントは、「安全基盤の強化と安定輸送の追求」、「グループ一体での鉄道×物流の総合力による輸送量の拡大」、「不動産事業の拡大と新規事業の展開」、「経営基盤の強化」、「貨物鉄道輸送の更なる役割発揮に向けた体制強化」だ。
<「グループ一体での鉄道×物流の総合力による輸送量の拡大」>
このうち、「グループ一体での鉄道×物流の総合力による輸送量の拡大」では、国内唯一無二の貨物鉄道輸送を提供できる強みを活かしながら、グループ会社が持つ倉庫機能を結節点として、あらゆる輸送モード・輸送サービスをトータルで提案・提供する「ロジスティクスソリューションプロバイダー」を目指した体制の構築と稼動を目指す。
そのため、貨物駅の物流結節点機能を強化する。具体的には保管及び集配機能強化のためのレールゲート及び積替ステーションの展開、鉄道コンテナとの積卸サービス提供による積替ステーションの利便性向上、パレチゼーション化の推進に向けたパレットデポの併設を行う。
また、既存輸送力を徹底的に活用した潜在的な輸送ニーズの取り込みを図る。具体的には、「データ分析を踏まえた戦略的営業活動の展開」、「31ftコンテナ輸送の拡大」、「定温コンテナ輸送の拡大」、「中距離帯輸送の拡充」、「流通業務総合効率化法の施行を受けた「物流統括管理者」(CLO)への働きかけ推進」を挙げている。
2025年度投資額は335億円とし、内訳は、成長・戦略投資に189億円、維持・更新投資に146億円を計画。
2025年度事業計画の収支では、鉄道事業の売上高を1539億円(2024年1月計画1455億円)、営業損失63億円(107億円)、関連事業の売上高214億円(177億円)、営業利益134億円(104億円)としている。