アダストリアとグループ会社のアダストリア・ロジスティクスは8月1日、茨城県常総市「グッドマン常総」内の物流センター「アダストリア常総物流センター(アダストリア常総)」で、自動化設備を導入したと発表した。
今回の自動化設備導入は、物流効率の大幅な向上を目的としたもの。ピッキング作業にHIK ROBOT社製のCTU(コンテナ移載ロボット)とLMR(AMRの一種である潜入式搬送ロボット)を、オークラ輸送機の協力で各50台、合計100台導入。
また、仕分けロボットとして、プラスオートメーションの協力で、Libiao社製の小型のAGV(無人搬送車)「t-Sort」を導入している。
現在アダストリアの9ブランド、計約800店舗分の出荷を担うアダストリア常総では、今回の自動化により時間当たり処理数での入荷作業が40%向上、出荷作業では60%の向上が見られているという。
<導入された自動化設備が稼働する様子>
なお自動化の対象となっているのは、保管、ピッキング、仕分け、出荷までの行程の一部。入荷においては、人力での作業を継続して行っている。
<作業者の前までコンテナを運ぶLMR。2面で9台ずつ計18のコンテナを運搬可能>
CTUおよびLMRは、入荷された商品を棚へ運搬し在庫とする作業と、在庫から商品を搬出する作業を担う。
在庫を保管するラックは、5.5mの天井高ギリギリまで設置されており、空間を無駄なく活用。入荷された商品を作業者がコンテナへ積み込み、LMRが18台のコンテナを一気に運搬、CTUが棚へと収納する。
作業者の移動を限りなく少なくするほか、在庫の管理をデジタル化することで、ミスを減らすことも狙いだ。
実際、自動化の導入により作業が簡易・安全になり、労働力の確保がしやすくなったほか、より少ない人員で倉庫を運営することが可能になっているという。
倉庫の稼働時間は朝8時から夜の18時までとなっているが、CTUおよびLMRは人がいない夜間も稼働し、翌朝の出荷に向けて在庫を搬出できる。これにより、翌朝に作業者が業務を開始する段階で出荷の準備が整い、作業効率の大幅な向上につながっている。
出荷する商品は、仕分けロボット「t-Sort」で、主に出荷先の店舗別で、段ボールへと振り分けられる。
走ってきた「t-Sort」に、示された商品を作業者が入れるだけで作業が成立するため、簡単かつミスを減らせるシステムとなっている。
<商品の投入と限度の表示。高さが一定値を超えるとランプが点灯する>
出荷される商品が段ボールに投入されていくと、かさが一定値に至った段階でランプが点灯する。色によって許容できる量が示され、一定まで商品が詰められた段ボールは、作業者によって奥へ押し込まれ、ベルトコンベアで出荷のラインへ到達する仕組みだ。
出荷に用いる段ボールは、「t-Sort」が走る空間と立体的に組み合っており、空間を無駄なく活用。常に段ボールが供給されるよう、自動組み立て機からコンベアがつながる構造だ。
出荷が確定した段ボールは封がなされた後、主に運送会社ごとに4レーンに振り分けられて出荷されていく。
なお、段ボールの組み立て・封かん機、コンベアラインは、オークラ輸送機製だ。
現在アダストリア・ロジスティクスは、売上高4000億円を支えるサプライチェーン構築のほか、労働力減少・人件費上昇への対応といった課題に直面している。
今回の自動化は、こういった課題に対する回答であり、今後全国各地で開設していく倉庫にも同様に導入していく見込みだ。
アダストリア・ロジスティクスの大塚健志 社長は、今回の自動化導入について、2022年のECセンターにおける自動化導入に触れつつ、「ECセンターでは2種類の学びがあった。一つは機械の扱い方で、出荷までの行程の数を少なくすること。もう一つは、アダストリアロジスティクスの中身の話で、これまでマニュアルでやってきた部分を、うまく工程に配置していくことに苦労した点が、今回学びとして生きている」と述べた。
また、自動化に際してオークラ輸送機、プラスオートメーションを選択した理由として、「一般にはコンテナを1個ずつ運ぶソリューションが多く、初期投資がかさみがちなところ、LMRはコンテナを同時に18個運搬できる点が大きな魅力。多少運搬が遅くとも、効率面では結果的にこちらの方が良いと判断した。プラスオートメーションはアパレルで利用している企業が多く、実績もある。テストを重ねたうえで導入を決定した」と、導入に至った経緯を説明した。
今回の自動化導入の発表に合わせ、拠点再編も進めていくことが明らかにされており、一例として「福岡ディストリビューションセンター(DC)」を、関西で新設された「西宮北DC」に吸収合併した上で、2026年夏には「西宮北DC」でも自動化設備を導入していく予定だ。今後は全国の物流施設でも自動化を推進していくという。
また今後、入荷作業のパレット輸送など、同センターでもまだ自動化の余地は残っており、展開によっては新たな自動化を導入する見込みもあるとしている。
<アダストリア 常総物流センター紹介動画>
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