日立物流とエーアイテイー(AIT)は10月10日、両社が資本業務提携について、日立物流の中谷康夫社長とAITの矢倉栄一社長がその経緯と狙いを説明した。
<会見後、握手を交わすAITの矢倉栄一社長(左))と日立物流の中谷康夫社長>
経緯について、矢倉社長は、「このところ会社の売り上げも利益も踊り場の状態で危機感を持っていた。次の打開策を模索し、外部の力を入れることが必要と判断。証券会社から日立物流を紹介された」と話す。
提携の決め手となったのはAITと日新運輸を合計すると中国から日本への輸入の取扱量は年間25.8万TEUとなることだ。競争強化につながり、通関件数も15.2万件となり、いずれも国内トップクラスになる。
さらに「日新運輸はAITの操業時にはあこがれの存在。今年の5月から話し合ってきたが、ぜひとも成就したいと思った」と矢倉社長は思いを語った。
日立物流の中谷社長は「さらなる協創領域拡大について、目指す姿はグローバルサプライチェーンソリューションプロバイダーになること。3PL事業とデリバリー事業、フォワーディング事業を核に総合物流サービスの実現を目指しているが、この中ではあまり強くない部分がフォワーディング事業だった。そこで、フォワーディング事業に強いAITと日新運輸は組むべきだと考えていた。これによって強力なサプライチェーンが完成する」と話した。
また、日中間のみならず、北米・欧州・ASEAN地域で、連携を強化することで、日立物流バンテックフォワーディング等との協業も視野に入る。三国間貿易や域内輸送等、物流サービスでもシナジー効果が期待されるとしている。
実際の協業は株式交換後の2019年3月以降になる。今後も、何ができるのかをシナジー効果を見ながら両者で協議して決めていくと。
目標数値について、矢倉社長は「今のところ数字的なイメージはない。ただ、資本業務提携でさまざまなことが出来るイメージが膨らんでいる」と期待を語る。
中谷社長は「今回はフォワーディング事業を強化するということが第一義だが、AITとパートナーを組むことで、さまざまな事業でシナジー効果が生まれてくることに一番期待している」とコメントを残した。