新倉庫を２～３年で3～５棟開設
—— 新しい施設・倉庫の開発計画があるのですか。
ゴー 実は3〜5棟の新倉庫を今後2〜3年以内に開設することを考えています。投資対効果を見込んでの開発になり、顧客への価値最大化も考える必要があるのでセクター(部門、部署)にもよりますが、全自動と部分的な自動化を組み合わせた物流施設とする方針です。
—— 全自動化と部分自動化の選別は。
ゴー 自動化を図るときに、私はピース単価(出来高単価)が重要な指標になると思っています。入荷から出荷までのプロセスの中で、顧客が支払わなければならないピース単価が安くなるか、高くなるかはとても大切なことです。自動化をしても、そのピース単価が下がらないのであれば、それはイノベーションとしては意味がありません。
—— 自動化で省力化はできているが、省人化ができていないという指摘もありますが。
ゴー 省力化と省人化はとても密接な関係がありますが、基本的には私たちの目指しているイノベーションは省人化です。とは言え、単純に人員を減らすという事ではなく、自動化により既存の人員をサポートしたり、人員不足を解消することが目的です。それを可能にするためには、エンドトゥエンド(最初から最後まで)のフローを見ていく必要があります。スムーズに流れていなければ意味を成しません。イノベーションによる自動化倉庫の中には、あるプロセスでは無人での自動化ができたとしても、後工程や前工程の部門に人が必要になり、結局同じ人数が必要になるような形、いわゆる部分最適が行われている例が少なくありません。全体的な流れを見ることが大切です。
—— 部分最適に走って全体最適が図られてこなかったと。
ゴー オペレーションの自動化、デジタル化で、どのセクターにどのような技術ポートフォリオを考えているのかと、よく聞かれます。やはりセクター毎に求められる自動化、デジタル化は違いますので、それぞれにあった形で導入することになります。それをエンドトゥエンドの全体フローからみていかなければなりません。非常に難しい作業ですが、とてもやりがいがあり、面白いと思っています。
—— 新倉庫建設に当たってもそのような考えを元に。
ゴー そうですね。今、新たな倉庫の建設に際して、当社の数多い顧客の中で、どの顧客が同じようなプロファイルを持っているのか、パレットピックやピースピック等、いろいろあると思うので、共通項を見つけていって、その共通項の多いオペレーションをまとめて、それに合う自動化を入れていく考えで、新たな倉庫の構想を考えています。
—— 新倉庫の候補地は。
ゴー いくつかの候補地はありますが、今後3年間で特に集中していきたいセクターに、コンシューマーリテール(一般消費財＆小売業)があります。このセクターには関東において、多くの顧客と取引があり、得意分野でもありますが、さらにこれを強化していくつもりです。倉庫だけでなく、輸送面についても同一地域への輸送を行っている顧客がおり、そこを統合して新たなオムニチャネル化にも対応していきます。さらに、ファッションアパレルの輸送ネットワークも今後強化していくつもりです。
—— 国内の大手テクノロジー系の企業との関係から電子機器部門も得意でしたね。
ゴー テクノロジー分野も以前から強みがあり、テクノロジー企業には、強固なネットワークを持っております。さらに、この強みを生かして、より強固にしていく考えがあります。それがサービスロジスティクスという分野での対応です。
—— サービスロジスティクスとは。
ゴー 機械類の保守部品を扱うセクターです。これは、日本に来て気づいた点ですが、保守部品の物流も他の普通の物流と同じように扱っているのです。サービスロジスティクスとは、ネットワークビジネスです。サービスエンジニアの人が必要な時に、必要な場所に、必要なパーツを届けなければなりません。
—— 部品が故障する兆候を知らせ、素早い対応を図るようなシステムもありますね。
ゴー その通りです。これをネットワーク化していくために、テクノロジーの分野で培ってきた技術を生かして、保守部品のネットワーク構築の青写真を作っていきます。これにより、部品が故障しても2時間程度で部品を配送し、機械が止まることを極力減らし、効率化を図るとともに、データアナリティクスと組み合わせ、部品の最適な在庫も実現してくつもりです。保守部品は時間が大切ですので、上手に運用しないとコストが嵩んでしまいますが、これは大きなチャンスだと思っています。
＜柏沼南ロジスティクスセンター＞
＜相模原ロジスティクスセンター＞
＜大阪ロジスティクスセンター＞
