ウェザーニューズは4月5日、船舶の座礁事故対策を支援する新サービス「NAR(Navigation Assessment &Routeing)」を5月に提供開始すると発表した。
新サービスは、陸上の運航管理者や関係各社に対して、船舶の座礁の危険性を自動検知して通知するもの。船舶の航路データをベースに、浅瀬や漁船混雑エリアなど危険性の高い区域へ接近を計画または接近・航行した場合、もしくは計画航路から逸脱した場合に、自動でアラート通知する。
新サービスは、陸上に向けて座礁の危険性を通知する世界初のサービスとなる。先日のスエズ運河や2020年7月のモーリシャス沖などで相次いでいる座礁事故だが、海運業界では浅瀬の航行は船舶に任せられており、船員の業務負担増によるヒューマンエラーの発生が事故の一因であると言われている。しかし、これまでは陸上から船舶の座礁リスクを把握するシステムが存在せず、多くの船舶からリスクのある船をリアルタイムに検知することが難しかった。
新サービスは、船舶の航海計画やウェザーニューズ独自の航路データ、世界中の独自の風、海流、波などの高精度な気象・海象データ、2分間隔の船舶の位置情報や海図、航行警報、独自の座礁リスク区域データベースなど、航海に必要なナビゲーションデータを組み合わせて監視することで、航海計画からの乖離や座礁事故発生の可能性を事前に検知することが可能になっている。
今後は、台風接近時の強風による走錨リスクや、荒天時の船体動揺リスクなどの通知も追加し、サービス領域を座礁対策だけでなく走錨や動揺などさまざまな航海リスクへの対策支援まで拡張する予定だ。
なお、ウェザーニューズでは海運各社が気候変動対策やESG、SDGs等に注力していることから、これまでの気象情報をもとにした安全・効率運航支援に加え、環境にフォーカスしたサービス開発を進めており、「NAR」をその第1弾として位置づけている。今後は、年内に2つの環境運航支援サービスの提供を予定している。