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三井倉庫HD/次期中計見据え、ESG、DX、協創に取り組む

2021年12月08日/3PL・物流企業

三井倉庫ホールディングスは12月8日、「三井倉庫グループ記者説明会」を開催した。

<説明する三井倉庫ホールディングスの古賀博文社長>
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三井倉庫ホールディングスの古賀博文社長が、中期経営計画2017を振り返り、その後次期中計に向けた新たな施策を説明した。

振り返りでは、同社は2017年時点では、売上高は大きく拡大していたものの、利益水準は上がらず、営業利益率低下に悩んでいた。2017年3月期には、一部のM&Aについて将来の事業計画を見直し、のれん減損等による256億円の特別損失を計上するなど、経営状況は悪化していた。

そこで、「中期経営計画2017」を策定。基本方針として「抜本的な事業収益力の強化」「財務基盤の再建」「グループ経営の強化による顧客起点の統合ソリューションサービスの構築」を挙げた。

そうした中、同社グループの三井倉庫社長にトヨタ自動車出身の三井倉庫エクスプレス社長の久保氏を初の外部出身社長として据える。メーカー出身という知見を生かして、現場カイゼン、顧客視点の物流構築へ取り組みを強化した。

また、ソニーグループへの物流企画支援機能と国際輸送企画支援機能を2021年4月より、三井倉庫グループに移管し、ソニーグループのSCM強化に貢献した。

成長事業での拡大投資では、ヘルスケア専用施設の新設、最新鋭マテハンを導入した施設(ロジスタ・ロジクロス茨木彩都A棟)開発するなど、財務基盤の再建を考慮しつつ費用対効果を見きわめつつ実施した。

そのようなことで、2022年3月期の見通しは、売上高が2750億円で2017年3月期比20%増、営業利益は205億円で営業利益率は7.5%と過去最高の数字となっている。

総括として、「底堅く利益を確保する体制を確立」「財務基盤の再建にも一定の目途」「株主還元の強化にも着手」「グループの一体感の醸成が進んだ」として、社員の意識や行動に変化が起きたとしている。

次期中計に向けた現状認識では、ここが今後のスタートラインとし、外部環境の変化が激化しているだけに、物流事業者には持続可能なサプライチェーンの構築への貢献が求められているとしている。

そして、次期中計を見据え、今後ESG、DX、協創に取り組むことを明らかにしている。ESGへの取り組みでは、「三井倉庫SustainaLink」で、サプライチェーンでの環境・労働力・災害の各リスクに対して、1.知る、2.見える化する、3.改善するの3ステップで対応を提案するとしている。

DXへの取り組みでは、サプライチェーンにおける情報のデジタル化・見える化を通じた社会価値創出を目指し、「DX戦略」を策定する。この戦略には、攻めのDX戦略と、守りのDX戦略があり、攻めのDXでは、付加価値向上、新規価値創出を目指す。また、守りのDXでは、最適化、効率化、自動化、省人化を目指す。

協創では、トレードワルツと業務提携を図り、貿易DXの実現を目指す。GMOシステムコンサルティング、シナブルとの業務提携では、EC分野でのニーズ多様化に対応するとしている。

<5事業会社>
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同社の古賀博文社長は国際物流とサプライチェーンについて、「半導体の不足については、それを作る部品が不足していることが多く、多少高くてもエア便を使うとか、在庫を多く持つという流れがあることは確か。生産が止まることをメーカーは一番気にしている。わが社での海外展開は東南アジア、中国が中心になるが、あくまで日系企業のサポートを第一義と考えている」と話す。

また、ホールディングと5事業会社については「それぞれ扱っている内容が違うので、体制的には良いと思うが、例えばタイでは、三井倉庫タイ、三井倉庫サプライチェーンソリューション、三井倉庫エクスプレスがそれぞれ進出していたが、それを一つのオフィスに集約し、それぞれの特長を融合するなどで、機能的に効果が表れている。今後もこの方向性で、他国でも進めていきたい」と述べた。

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