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成長のカギは品揃え&在庫の強化
MonotaROの物流戦略

2022年02月08日/物流最前線

<笠間DC>
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数年ごとに物流センター新設、次は2025年頃

――  御社の物流体制は。

吉野  これまでの経緯を説明しますと、事業や売上の成長と在庫点数を増加させる観点から、物流センターを拡大してきました。2014年に尼崎DCを、2017年に笠間DCを開設しましたが、笠間DCの構想についてはすでに2014年末の時点で検討に着手していました。

当社は獲得するお客様の数、リピート率、購入いただく商品数や注文単価などから日々の需要予測の精度が比較的高いと言えます。そのため、その成長率を考慮しながら数年おきに次の物流センターの検討を始めています。最初の物流センターはサプライヤーが集積している尼崎に開設しましたが、当社の顧客は東日本が中心のため、BCPの観点からも2拠点目の笠間DCは関東に開設することとなりました。

――  2021年は2拠点の物流センターを開設しています。

吉野  はい、まず春に茨城県で茨城中央SCを開設しました。このセンターは、中国などから輸入しているPB(プライベートブランド)商品のバックヤード機能を担っています。それまでは、笠間DCのバックヤードスペースをはじめ周辺に賃借した外部倉庫で保管していたのですが、自社物件である茨城中央SCに機能を移管集約し、内製化しました。

――  11月には関西で猪名川DCを竣工しました。

吉野  プロロジスさんの物流施設をほぼ1棟借り、当社では最大規模の物流センターになります。今の売上成長率が続くと、大体3~4年経つと今の倍の売上、物量になる見通しなので、必要面積や入出荷能力が不足しないようにセンターを大きく構えました。猪名川DCには尼崎DCを移転拡大すると同時に、その周辺に点在している外部倉庫を一括集約します。一般サイズを取り扱う配送パートナーさんでは難しい一部の大型商品や重量物は外部倉庫から出荷していましたが、それも猪名川DCに集約することでのさまざまな効果を期待しています。出荷能力は尼崎DCの3倍になる見通しです。

――  3倍の出荷能力で何年先までのキャパシティーを確保できるのでしょうか。

吉野  売上成長からいくと、おおよそですが次のキャパシティー不足が発生するのは2025年頃と分かっているので、あと3年ぐらいです。ですので、現在は既に2025年に新設するセンターのオペレーションや物流設備、候補物件を検討しています。

――  順番からすると次の拠点は関東ですか。

吉野  そうですね、地域的には関東を考えています。笠間DCと茨城中央SCのある北関東のほか、南関東も含めて候補地の選定をしています。大規模なセンターになると構想から稼働までおおよそ2年ぐらいかかりますので、検討を急いでいます。

――  規模感的には次期物流センターも猪名川DCと同程度になるのでしょうか。

吉野  数万坪はやはり必要だろうと思いますね。土地価格、建設価格も上昇している中で、自社物件と賃借、両方のメリットとデメリットを考慮に入れて検討をしている段階です。

――  今後も数年程度を目途に新たな物流センターを開設していくのですか。

吉野  これまではおおよそ3年ペースでしたが、売り上げ規模が拡大するほどにスパンは短くなっていきます。例えば、売上500億円の20%成長と3000億円の20%成長は全く話が違いますからね。次から次へと新しい物流センターの検討をしていかなければならないですし、次のセンター開設までの期間もどんどん短期化していくことになります。そうなると、まとまった能力を確保できる大規模な施設を構えることになるのですが、それには従業員も大量に確保する必要がありますし、自動化しようにも設備投資費用が大きくなってきますから、そこをどうするかが課題ですね。

――  関東・関西以外の場所に物流センターを配置する計画は。

吉野  そこは正直悩ましいですね。やはりBCPの観点で災害や新型コロナ、さまざまなトラブルといったリスクが起こり得るので。次の2025年頃に開設するセンターは関東になると思いますが、それ以降の拠点をどこに構えていくかは今後検討すべきことだと思っています。

――  地方ごとに拠点があれば配送リードタイムが向上するメリットがあると思いますが。

吉野  確かに、地方ごとに比較的小規模のセンターを構築する方法もあるかもしれません。ですが、どんな需要規模の地域であっても、物流センターで必要になる在庫点数というのは実はあまり変わらないのです。以前、小規模の物流センターを構えて需要の多い一部の商品だけを扱うセンターを運営していたのですが、実際にはオーダーの数だけ商品にバラつきが出てしまい、その需要地のオーダーを充足しないで期待したサービスレベルの向上やコスト削減に至らないこともありました。その結果、物流センターには一定数の幅の在庫点数が必要だということになり、現在の関東・関西の2地域体制になった訳です。

例えば、当社の親会社はグレンジャーというアメリカの会社ですが、グレンジャーは米国内に巨大な物流センターを十数か所設置しています。米国のような国土面積ですと地域ごとに大規模な物流センターを構える必要があると思いますが、日本の場合は国土も小さいですし、宅配事業者さんのサービスレベルが非常に高く、ほとんどの地域であれば翌日配送が可能なので、拠点を地方に設ける意義は今のところ小さいかと考えています。

――  現在、御社は最短でも翌日配送です。顧客から当日配送などスピードアップの要望はないのですか。

吉野  もちろん、そういった要望が一部であることにはあります。ですが、当社の顧客になる事業者さんですと、ご購入頂いている間接資材の在庫管理ができている場合が大半です。突発的に商品を購入しなければならないといった事態もあると思いますが、今時点では朝にご注文頂いた商品を夕方に届けるといったサービスには対応していないのが現状です。

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