ダイワコーポレーションは3月8日から10日の3日間、本社にてVR消火訓練シミュレータを用いた消防訓練を初めて実施した。
VR消火訓練シミュレータとは、体験者がVR機器を装着し、VR(仮想空間)で発生した火災に対して消火訓練ができるツール。実物の訓練用消火器にVR用無線コントローラーを内蔵した専用消火器を使用する。消火器のピンを抜いてレバーを握ると、VR上で消火剤を放射。ホース先端にセンサーを内蔵しており、動きをトレースするため、仮想空間でリアルな消火訓練が可能となる。火が消えるとVR視聴画面上に「消火成功」の文字が表示される仕組み。
以前は本社屋上で水の入った訓練用消火器を使用し、的に向かって水を放射する消火訓練を行っていた。屋外での訓練は安全性の高い場所の確保や訓練用消火器の準備・後片付けが必要。そのため複数回の実施が難しく、多くの人の訓練参加を望んでも、業務都合やコロナ禍の感染予防対策で集合が困難なことが課題だった。
しかし、このツールを利用すれば準備や後片付けが容易のため、いつでもどこでも、何度でも訓練を行うことができる。そこでVR消火訓練シミュレータを1セット・4日間レンタルし、消防訓練を開催することにしたもの。
訓練は本社会議室で、感染予防のため部門ごとに日程を分けて実施した。訓練に参加した社員からは「消火手順・ポイントが学べた」「消火活動体験を室内でできるのは良い」との意見があり、訓練終了後の参加者アンケートでも「今後もこのようなVRを使った消火訓練コンテンツをぜひ利用したい」の回答が50%以上を占めた。今後はアンケート結果を踏まえ、このツールを長期レンタルし、物流拠点でも継続的な訓練を実施することを検討している。
同社は、物流拠点のある地域を管轄する消防署と消防団に災害訓練対応場所を提供するなどの活動をしている。本業である物流に注力しつつ、防災への意識向上や訓練の実施が従業員の安全や地域社会にとって重要であると考え、引き続き企業防災に取り組んでいくとしている。
なお、総務省消防庁によると、倉庫火災の件数は2018年で447件、そのうち延べ面積1万m2の倉庫火災状況は17件で、大規模倉庫での火災は年々増加している。一般的に倉庫は大量の可燃物が存在し延焼拡大しやすいことから、被害を最小限に抑えるためには適切な初期消火の実施が非常に重要といえる。そのため倉庫内の消火設備確認はもちろん、消火設備の適切な使用方法を理解する必要がある。
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