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自動化の切り札『WES』
YEデジタルが物流現場を変える

2022年08月22日/物流最前線

20220822 ye05 - 物流最前線/YEデジタルトップインタビュー

<MujinのAGV>
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<プラスオートメーションの仕分けロボット「t-Sort」>
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ロボットとの連携を強化、年内に新機能実装も

――  7月初旬からロボットメーカーとの連携に関する発表が立て続けにありました。

玉井  MujinとはAGV で、プラスオートメーションとは「t-Sort」でそれぞれ連携します。MujinのAGVではパレット等の工程間搬送を自動化することに加えて、棚搬送によって保管設備としてのGTP(Goods to Person)システムを構築することも可能です。「t-Sort」は、GTPシステムと連携することで、ピッキングと仕分け作業を同時に実現し、作業を効率化できるほか、仕分け後の搬送工程で運用する他社製のAGVやAMRと連動して梱包場への搬送を自動化することもできます。

今後もさまざまなロボットメーカーと連携を予定しており、まずは物流現場の搬送・保管・仕分けといった工程ごとのロボットと連携していくつもりです。保管と仕分けについては、それぞれバケット型自動倉庫や、ゲート式仕分け設備との連携を2022年中に目指しており、連携に向けた準備を進めています。(追記:ゲート式仕分け設備との連携について、8月9日にアイオイ・システムとの連携開始を発表)

<「MMLogiStation」とロボットの連携状況(7月末時点)>
20220822 ye08 - 物流最前線/YEデジタルトップインタビュー

――  アビームコンサルティングとの業務提携を発表しましたが、提携の狙いは。

玉井  最大の目的はアビームコンサルティングが得意とするデジタルを活用した改革構想力と、当社の保有するソリューション群やソリューション構築力、これらを組み合わせることで、物流現場の自動化を構想から実現までトータルでサポートできる体制をつくることにあります。また、アビームコンサルティングは顧客への提案力に優れているため、ここでも力を借りたいと思っています。正直なところ、当社は技術力に定評がある一方でマーケティングや営業面がまだ弱いと感じています。ですので、今後はアビームコンサルティングの強みを最大限活用することで、弱い部分を補い、高い技術力と営業力を両立した組織を目指していきます。

――  提携先に選んだ理由は。

玉井  営業面の強化に向けて複数のコンサルティング会社と面談したのですが、数ある企業のうちアビームコンサルティングは「これは本気だ、信頼できる」と思いましたね。今後は連携を進めていくことで機動力が高まり、短期間に事業を垂直立ち上げする等、現状の当社の仕組みでは困難な局面にも対応できるのではと考えています。スピード感を高めるといった意味では、M&Aなども手段として考え得るのではないかと思っています。

<アナリスト機能>
20220822 ye09 - 物流最前線/YEデジタルトップインタビュー

――  「MMLogiStation」について今後の機能拡張の予定は。

玉井  さまざまな機能を拡充する予定ですが、1番の目玉になるのはデジタルツイン・シミュレーションで設備導入の効果を事前に予測する「アナリスト」機能ですね。現在開発中で、2022年中の提供を予定しています。この機能では、実際の倉庫と同一のレイアウトをデジタル空間上に再現し、シミュレーションを実施することで、高い精度で導入したい設備の効果予測を行うことができるというものです。WESの実績データを投入することで、よりリアルなシミュレーションが可能になります。事前に効果を検証することで無駄を省き、倉庫改善をスピードアップすることが可能になります。

これは「MMLogiStation」の付帯機能として提供する予定です。自動化機器の導入を検討している企業の中には、費用対効果がネックになっている企業も多いかと思います。アナリスト機能によって事前に効果が算出できれば、「なるほど、じゃあ導入してみようか」といった気にもなるのではと考えています。

――  この機能だけでも需要がありそうですね。

玉井  マテハンやロボットの導入から、オペレーションの変更まで効果を試算して可視化することで、荷主や委託先とも共通の認識を持つためのツールになるのではないかと考えています。また、機能の拡張とは別の話になるのですが、今後は「MMLogiStation」導入後のアフターサービスにも力を入れていこうと思っています。当社は本社のある北九州市に「Smart Service AQUA(スマートサービスアクア)」というサポートセンターを設けており、そこで導入後のサポートを行う予定です。「MMLogiStation」の管理はもちろん、同システムとつながっている他社製のWMSやWCSといったシステムについても遠隔でサポートしていきます。

どこかのシステムに異常が起きた際、通常であれば問題が起きているシステムを作ったベンダーに問い合わせる必要があります。ですが、WMSはA社のもの、自動化機器 (WCS)はB社のものといった具合に、複数社のシステムを運用している現場では、ベンダーごとに対応を依頼する必要があり面倒です。そこを「MMLogiStation」を導入して頂いた顧客に対しては、他社のものであってもシステムを一括でサポートし、問題解決へと導きます。顧客目線で見れば、「YEデジタルに任せて良かった、ここに言えば全部上から下まで、よそから買った機器まで面倒を見てくれる」ということで、そこは絶対に存在意義があると思っています。

また、AGVなどの自動化設備についても、「MMLogiStation」との親和性が高く、かつ将来の普及拡大が見込まれるような製品については、機械の保守メンテナンスもメーカーに代わって当社が代行するといったことも検討しています。メーカーの技術者にメンテナンスの教習を受けて、以降は当社で請け負っていく考えです。最終的には、システムもロボットも全てYEデジタルが面倒を見るような形にしていきたいですね。

――  事業領域がだいぶ広がりますね。

玉井  WESのパッケージを売って終わりではなく、その後も顧客の痒い所に手が届くような、困りごとを解決できるサービスを提供し続けることで、一度ご縁のあった顧客に対して長く付き合っていけるようなビジネスの方向性を目指しています。

――  御社は9月に東京で開催される「国際総合物流展」にも出展されるそうですね。見どころは。

玉井  「MMLogiStation」に複数メーカーのロボットを接続し、連携して動作させるデモンストレーションを行う予定です。実際にロボットが連動する様子を見ていただくのが一番だと思いますので。ぜひ来場された際は当社のブースへお立ち寄りください。

【「国際総合物流展2022」YEデジタル出展情報】
https://www.logistech-online.com/webguide/company.php?no=234

■玉井 裕治(たまい ひろはる)社長
1964年1月24日生まれ、愛媛県大洲市出身。1986年、安川情報システム(現YEデジタル)入社。2018年6月に常務執行役員 組込・制御システム本部長、2021年5月に取締役専務執行役員 IoT事業統括 組込・制御システム本部長を経て、2022年5月に社長就任。
座右の銘「失敗することを恐れるより、何もしないことを恐れろ」は営業職に転身した32歳の頃から守り続けているポリシー。趣味は8年前に上司のすすめで始めたゴルフ。全国各地のゴルフ場を訪れ、年間60ラウンド以上をプレーしている。

<ゴルフは息子さんと一緒にラウンドすることも>
20220822 ye10 520x692 - 物流最前線/YEデジタルトップインタビュー

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